「・・・日向?」

気づいたときにはもう掴んでた。



オイ、何女子達と楽しそうに話してんだよ。
頭あたりに俺の痛い視線を感じてないのか。いいからこっち来いよ。
たしかに俺は女子達みたいに可愛くもないし、美人でもないけどな。
胸だってなければ、身体だって柔らかくない。それに二重人格。
だけど。だけども!
こっちを向いてほしいなんて。
どこの少女漫画だよ、俺。


・・・、でもやっぱり伊月が女子達と話してるのは気に食わない。
別に嫉妬とかじゃないけど。断じて違う。絶対違う。そんなの認めない。
どうすれば気づいてくれんだよ。あぁもう、泣いてしまいたい。
でもお前の前ではきっと泣いたりしない。お前に似合う俺でいたいから。
お前は俺のものでいろよ、俺もお前のものなんだから。(それこそずっと)

「日向?」
「別に、ナンデモナイ」
「何でもないって顔じゃないけど。どうかし「うるせぇ」

今の俺の顔を見ないで、今の俺に話しかけないで。
だってすっごい泣きそうだし。ちょっと伊月が女子と話してただけで嫉妬してたなんて、
俺が認めたくないんだよ。
「伊月くーん!ちょっとこっち来てくれる?」
「ん、今行く」

ちょうど女子の声。あぁ、伊月は人気だもんな。顔だっていいし、もてるし。
・・・・・。
行くなよ、俺本気で泣きそうなんだって。嫉妬の海におぼれて死にそう。
そっちを向かないで。そっちに話しかけないで。そっちへ歩いていかないで。


「・・・日向?」

気づいたときにはもう掴んでた。


「・・・悪ぃ、気にするな」
パッと手を離した。まさか伊月のシャツをひっぱってるなんて、行ってほしくないなんて。
離した手は伊月に掴まれて。
「日向、もしかして嫉妬してた?」
「誰がだ、だア「俺が女子と話してたから嫉妬してたんでしょ?」
手は離してもらえなくて。
「ごめんね、かまってあげなくて」
「・・・、バカじゃねぇの」
「うん。俺日向バカだもん」
「意味わかんねーんだよ」
「それぐらい日向が好きなんだよ」
「知ってる」
「俺は日向しか見てないから、日向がいれば幸せだから」
「知って、る」

さっきまでの嫉妬はなんだったんだよ。しょうがないから全部チャラにしてやる。
だから、


ここでキスして。
(いつか泣かないように確信を頂戴)
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