「俺がお前を好きって言ったらどうすんの」
ベットから動かないでいる俺に先輩が聴いてきた。
俺に言ったわけじゃないかもしれない。先輩の目はテレビに向かっているし本当に疑問系だったのかも定かじゃない。もしかしたら独り言かもしれないしあるいは、ここにはいないあの人に言っているのかもしれない。そうだ俺は彼の代わりなんだ。
だとしたらやっぱり俺に言っているのか。俺は彼の代わりに答えなければいけないのだろうか。そんなのやってられるか。

「そういう宮地さんはどうなんすか」

そしたらあんた黙ってやんの。ざまあみろ。俺があの人の代わりをするのは最中だけの約束だったハズじゃないか。現にあんただって最中しかあいつの代わりをしてくれないんだから。自分がしないことを他人に押し付けちゃいけませんってね。
そんなこと考えている内に先輩の顔が近づいてきて俺の唇を塞いだ。
それ、するんならもっと早めにすればよかったのに。

口の中に鉄の味が広がった。
「そういうことは緑間にでも聞けよ、慰めてやっから」
それが出来るなら最初からこんな関係作らないでしょ。弱虫で嘘吐きな俺たちに出来ることなんてお互いに知らん振りして傷の舐めあいするしかないんだから。

ゆっくりと起き上がって俺は先輩に一言。

「じゃあそれ。大坪さんに言ってみて下さいよ」



嘘吐きは本当のことが聞けませんでしたとさ。


ある代理人の独り言
(舐めた傷から嘘が滴る)
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