ここまで人が増えてしまうと、かなり営業の邪魔になる。リコは場所を変えること提案した。実行委員に頼んで休憩を何とか貰ったリコは夕方から借りることになっていた体育館の鍵を取りに職員室を訪れた。リコは何度も鍵を貸してくれた教師に頭を下げた。



「最初は夕方からって言ってたじゃないか。突然どうしたんだ?」
「すいません、いろいろ、ありまして・・・。」
「まあ、いい。バスケ部関連だろう?監督ってのも大変な仕事だな相田。」



そう言った教師にリコはあははと笑って、最後にもう一度頭を下げ職員室を出た。外で待っていた彼らに視線を向けたが、すぐに逸らし体育館に足早に向かった。それを見た彼らは急いでリコの後を追った。


歩くたびに揺れるメイド服のスカートは意外と短く、中々そそる。男たちには絶対領域が、輝いて見えた。にやにやと見る者もいれば、耐えられず目を逸らす者もいた。しかし大半は顔を赤くしながらも、ちらちらとそれを見ていた。


(ちょ、まじで可愛すぎて困るスよね!緑間っち?)
(なぜ俺に話を振るのだよ。・・・否定はしないが。)
(俺のもんだ、手出すんじゃねーよ。)
(はあ?!何言ってんだ。てめえのもんじゃねえだろーが!)
(ほんとうっせーな、若松、・・・センパイ。)
(おい、てめぇ今呼び捨てにしただろ?!)
(はぁ・・・。)
(何だそのため息!)


横でぎゃあぎゃあ騒ぐ青峰と若松に今吉は、いい加減にせえよと一喝した。それを見た桃井は「これだから男は・・・」とうざそうな表情を浮かべた。しかしそれ以上にこの状況に嫌気がさしているのは誠凛バスケ部だった。


リコのメイド姿を見ることができる、これは同じ学校である日向たちの特権だった。けど、実際はどうだ。ライバル校がこんなにも集結している。日向たちは静かにため息をつく。これ以上ライバルが増えなければいいが、と願った次の瞬間、その願いは塵のように儚く散った。


秋田にいるはずの紫原と氷室が体育館の前に立っていたのだ。紫原の腕いっぱいに、文化祭の出し物で買ったと思われる焼きそばや手作りクッキーなどが見えた。すでにそれを口にしていて、かなり機嫌がよさそうに見える。リコはそれを見て、ひとり静かにため息をつくが、実際他の者もため息をついていた。



「何で、ここに・・・タツヤが・・・。」
「ああ。今日はこっちの学校と練習試合があってね。」
「で、暇になったからここに来てみた、ってわけか。」
「まあそんなとこかな。」


にっこりと★がつきそうなほどの笑顔を向けられた。けれどどう反応していいか分からず火神は目をそらした。


ここまで強豪バスケ部が揃うと、かなりの迫力なわけで。いつの間にか、野次馬ができていた。それなりに離れた場所からリコ達を見ているが、今から何が始まるのかと期待を持たせてしまったらしく、じりじりと近づいてくる。


「どうすんのよこの状況」とリコが困ったように呟く。すると木吉が「とりあえず中入らないか」と言ったので、リコ達はとりあえず中に入ることにした。



 

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