黄瀬の突然の訪問から30分ほど経過したとき、リコは仕事に戻ると言って自分のクラスに向かって走っていった。残された日向たちは、海常高校バスケ部のメンバーと静かに睨み合った。誠凛高校バスケ部は「俺たちのカントクに手を出すな」というような目で、海常高校バスケ部は「お前らのじゃねえだろ」という目で、互いを睨み合う。


「黒子っち、何で今日文化祭があること教えてくれなかったんスか?」
「・・・カントクは僕たちにとって大切な人です。だから、これ以上カントクのことを知られたくなかった、ただそれだけです。」
「・・・黒子っち、カントクさんのこと大好きなんスね。」
「はい。僕だけじゃなく、火神くんも日向先輩も、みんなもですけど。」


黒子は静かにそう告げると黄瀬はなぜか嬉しそうに笑い、頷いた。黄瀬だけではなく笠松も森山も笑顔で、日向たちを見ている。そんな彼らを不思議そうに見ていると、黄瀬は口を開いていった。「そうでなくちゃ面白くないスよね。」、そう言うと片目をつぶって見せた。日向たちは思わず口をぽかんと開けたまま固まってしまった。予想していなかった言葉、すぐに返事はできなかった。


「正々堂々と戦う、それが1番だからな。」


笠松の言葉に日向たちも笑顔で頷いたとき、後ろから聞き覚えのある声がした。その声は日向たちを呼んでいるようだった。嫌な予感がして、彼らは中々声の聞こえる方を向くことはできなかった。振り向いたら最後、めんどうなことになることは分かっていた。振り向かない日向たちの目の前に、姿を現したのは緑間や青峰、秀徳高校と桐皇学園高校のバスケ部だった。かなりの大人数で、廊下はかなり狭い。


「・・・めんどくせえことになったな。」
「めんどくせえって何だよ。俺はお前に会いに来たんじゃねえよ、リコはどこだ。」
「はあ?!リコ?!青峰、おま、いつから呼び捨てで・・・!?」
「気に食わないのだよ。いまいましい。」


青峰の言葉に腹立つ男たちは、額に青筋が浮き出ている。拳をボキボキと鳴らす者もいる。そんなことも気にせず、青峰は飄々としていてキョロキョロと辺りを見渡している。その態度が更に日向たちの気に障る。もう限界が近づいている。今にも殴りかかりそうな勢いの男たちを見て、それまで黙っていた今吉が笑いながら言った。


「まだ気づいてないみたいやな。ここ着いてすぐに桃井がカントクさんとこ行ったんやけど。」
「まじで?・・・あ、いねえ!くそ、さき越されたじぇねえか。気づいてたなら早く言えよ。」
「スマンの。」
「謝る気ねえだろ!ああもうめんどくせー。」


そう言って頭をがしがしとかいて、青峰は背中を向けて歩き始めた。そのあとを慌てて日向たちも追いかけた。




その頃桃井はリコの下を訪れていた。リコのメイド姿の見た瞬間取り出す携帯。何度もいろんな角度から写真を撮る桃井。リコは写真を撮るのをやめるように言ったが無駄であった。リコと最近仲良くなった桃井は、リコ大好きで時々誠凛にも遊びに来る。女子同士でしか話せないことなどもよく話しており、お互いに信頼している。


「きゃー!もう本当可愛いですリコさん・・・!メイド姿のリコさんを見られるなんて、私いつ死んでもいいですっ。」
「大げさよ、そんなことで『いつ死んでもいい』なんて言わないの。」
「それくらい可愛いんですよリコさん。・・・青峰くん達には見せたくないわね。」
「ん?何か言った?」
「いいえ、なんでもないです。」


最後にボソッと言ったことはリコの耳には届かず、桃井は笑ってごまかした。



 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -