19XX年より、後退を始めていた人類の進化は、とうとう終末を迎えることとなった。近代化が進み、自分自身の力を必要としない世界となった今、人間という生物の必要価値は無意味。ただの自然破壊を進行させる、地球の外敵となりうる存在となりつつある。ある独裁国家の指導者は言った。「神は臆病な民族を原則として自由にして下さらぬ」そして、ある指導者は大衆の心をただ演説のみで掴んで見せた。頭でっかちな国民総ての心を掴み、彼が志したものは「人類の進化」。劣等な種を断ち、優れた種だけを後世に残していく事を望み、彼は第三次世界大戦の火蓋を切ろうとしていた。平凡というぬるま湯に浸かりきっていた人類は、再び悪夢へ引き戻される。人種主義を問うた指導者、彼は国王へと登りつめ、大衆の心を洗脳していった。指導者に洗脳されたのは、なにも國民だけではなかった。政府までが彼の色に染まり、そして歴史は繰り返す。かのアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所のように、政府は再び心無い収容所を造り、人々を闇へ葬ってゆく。幼い少年たちは、進化への人柱として、研究に身を捧げなければいけない。閉鎖的な空間で、自由を奪われ惨い仕打ちを受けながら、何を思い何を感じているのか。くどいようだが、もうもう一度言う。歴史は繰り返す。研究したとて、何も変わるはずがない。戦争そのもの、この政府の維新さえも、上級貴族の娯楽だと言うのだから、滑稽だとは思わないか。そこで私は再び同じ過ちを繰り返さない為の準備を行わなければならない。今行われようとしている事はある種のテロだ。テロは同等のテロで対応しない限り必ず成功する。その裏をかいて、我々もまた、政府に太刀打ちできるテロを始めようと思う。その為の、犠牲は致し方ない。未来ある少年少女たちに、我々の光ある未来を託してはみないだろうか。