あの日以降、私が体育館に行くことはなくなった。

あの日、高尾から試合の感想を求めるメールが来ていたけれど
すごかったよ、とたった一言送り返せばいいだけなのにそれも出来なかった。

私はこの数か月間、一体何をしていたんだろう。
つけあがって、居座って、必死に練習をしている彼らに迷惑をかけ続けて。
私は馬鹿で自己中心的で本当にどうしようもない人間だった。
もうあの場所には行けない。行けるわけがない。

高尾も高尾で何かしらの空気を察しているようで、今まで週に2、3回送られてきていた
『緑間、今日は居残りしないって』メールもあれから一度も来ていない。
だけど薄々感じていると思う。部外者が居残り錬に現れなくなった今の方が正常なのだと。


あれから二人とは会っていない。
元々クラスは離れているし、放課後以外に接点もなかったので校内で遭遇することもない。
それと休み時間に廊下に出ないようにするだけで、接触する可能性もなくなる。
入学してから数か月全く高尾に会わなかったように、行動範囲を合わせなければ会うことはない。

呆気ない。全てが最初の頃に戻ったみたいだ。
でも私の学校生活はこっちだったはずなのに、一日一日がとても長く感じるのはなんでだろう。

…バスケすごかったな。ほんと私、今まで何してたんだろう。
あの緑間には、この先もきっと私みたいなファンがたくさん付いていって、
そしてその中の一人の、可愛くて真面目でおしとやかな子が緑間に惹かれて
きっと緑間もそういう子を好きになって、…って、それは私には元から関係ない話だ。

小さく頭を振って、突然湧いて出てきた不可思議な思考を振るい落とす。
高尾の地道なキューピット作戦は地味に私を蝕んでいたらしい。
あれは自分には効かないものだと思っていたけど、やっぱ刷り込み効果ってあるんだな。

ていうか私にそんな刷り込みしても意味ないよって何度も言ったのに。
私が好きなのは緑間のシュートだけであって、別に緑間本人に興味なんて、…なんて、

心の奥がざわざわする。そう、シュートだけ、だよ。だって最初の時は本当にそうだった。
興味なんて微塵もなかったし、誰かと付き合ったらなんて例え話をされても何の感情も沸かなかった。

今だってそうだ、そうに決まってる。
だって私は、私は――――、


記憶の中にいる、まるで敵意のない緑間の眼差しが私を揺さぶる。

…興味なくなんて、ない。
緑間はもう「気難しそうで無愛想な同学年の男子」なんかじゃない。
自分勝手だけどどこか不器用で世話焼きで、勉強も出来て、教えるのも意外と上手くて、
おは朝の占いに命を注いでて、いつも持ってるのはその日のラッキーアイテムで。

、いつからだ。
知らない人から知り合いになったのは。ただの知り合いからよく知る相手になったのは。
シュートだけでなく緑間本人に興味を持ち始めたのは、
あの無表情が敵意のなさであることを知ったのは、いつからだ。
嫌われてるとばかり思っていたけどそうでもないのだと気付いたのは、一体。

でも違う、興味といってもそういうのじゃない。
高尾が言うようなのじゃなくて、同学年の単なる知り合いとしての興味であって。
そう、普通に持つような興味であって、高尾が言うような異性とかそういうのじゃなくって。


「……、」


なんだろう、特定の言葉をかき消すとどこかでもやもやと小さな渦が巻く。
どの言葉だろう?分からない。私は何を覆い隠しているんだろう。
そのまま机の木目をしばらく見つめ、結論が出ないまま大きくため息を吐いた。

とりあえず、私が今一番に見据えるべきは午後イチの化学の小テストだ。
もやもやしたものを無理やり隅っこに追いやって、私は机から教科書を取り出した。

パラパラという音とゆるい風を受けていると、折り目の付いたとあるページで風が止まった。
前のテスト範囲か、と視線を落とし、 そのページから目が離せなくなった。


そこには緑間の文字があった。図書室で勉強を教えてくれた時に書いてくれたものだった。
おかげでいつもより良い点数がとれたんだ。緑間の、おかげで。
それは私が緑間の傍にいたことの証拠だった。

私は近付いていた?ううん、違う。近付けるわけがなかった。だって世界が違うんだから。
苦しい。どうしてこんなに苦しいんだろう、自分で決めたことなのに。


「変な顔してんぞ」


頭上から唐突に、聞きなれない声が降ってきた。
反射的に薄暗い思考はプツンと途切れ、その方向を見上げると
何故か同じクラスのバスケ部の男子が私のことを見つめていた。

ぽかんとしていると「前いい?」と聞かれたので、「ああ、うん」と生返事を返した。
彼は前の椅子に腰をかけながら「腹、痛いの?」とやや小声で私に囁いた。

苦笑いで否定すると、「それならいいんだけど」と彼は笑った。
何か用事あるのかな。そう言えば先月まで前後の席だったけどあんまり喋らなかったな。
そんなことを考えていると、彼は私をじっと見つめ、そして首を傾げながらこう言った。


「なあ、バスケ部の高尾と緑間って知ってる?
なんかここ最近、お前が学校来てるかとか聞かれるんだけど」


どくん、と強い鼓動が私の身体を揺らした。


「…え、」

「なんかあんの?」

「……」


彼の言葉に何も言い返せなくて、視線を彷徨わせながら口をつぐんだ。
けれど彼は私のそんな反応には気付いていないようで、
「そういや前もメールでなんかお前のこと聞かれたんだよな」と首を傾げている。
やっぱり、私が風邪を引いた時に高尾がメールした相手ってこの男子だったんだ。

過酷な部活を終えた後に一年生があの時間まで残ることはないし、
実際に私も緑間と高尾、あとはほんの一部の上級生としか会わなかった。
だから彼の中で私はクラス内の認識しかなくて、バスケ部の二人との接点が謎なんだろう。


「ってか、高尾とは中学一緒だっけ?」

「え?うん、そうだよ」

「高尾もすごいよなー、今や緑間と並んで一年生レギュラーだし。
あ、緑間のアレ見たことある?あの半端ないシュート」

「……う、ん。ある、よ」

「おっ、ある!?あれ初めて見た時はビビるよなー。
けどシュートだけじゃないんだよなあいつのすごさって」


知ってる、知ってるよ。思わずそう相槌を打ってしまいそうになる。
彼の言葉につられて、緑間との記憶がゆらゆらと浮上してきそうになる。

無理やり押し込んだ心の奥底に微かに見える、どうやっても覆いきれないキラキラしたもの。
だけど今の私にはそれを拾い上げる資格なんてない。

彼は昨日も一昨日もその前の日もいつも通りに彼らに会って彼らと部活をしてきた。
私が逃げてきた、彼らと。


「…で、敵う敵わないの問題にすらなんないし、やっぱ次元が違うつーかさ」

「そう、なんだ」

「やりたい放題が鼻につく時もあるけど、練習見てるとやっぱ勝つ為にやってんだって思うし。
俺もせめて一回くらいは試合に出たいから頑張ってるつもりだけどさ、
緑間高尾並に頑張らないとベンチ入りすら無理っぽいんだよなー…」


そう言ってぐったりと力なく机に突っ伏す彼に何と返せばいいのか分からず
とりあえず慰めていると、後ろの方からクラスの女子が私の名前を呼んだ。

なんだろう、と声がした方向を見て、私は息を飲んだ。
クラスの女子が「お客さんだよー」と教室の入り口の前で手を上げている。
彼女の横には高尾と、その隣には顔が隠れているけれど緑間が立っていた。

わかってた。物事が終わったわけじゃない。私が一人で勝手に逃げていただけだ。
無表情でこちらを見る高尾と目を合わせていると、目の前の男子が私の肩をぽんと叩いた。


「話をすれば何とやら?」

「…、みたいだね」

「てかマジなんなの、俺を介してやりとりすんの勘弁してくれよ…。
俺なんも悪いことしてないのにあの緑間に毎日毎日睨まれるんだぜ…」


アイツただでさえ目つき悪いのに睨むとめちゃくちゃこえーんだよ…と
その光景を思い出したように嘆いた後、「まあ、いってこいや」と笑って送り出してくれた。

彼のその流れで立ち上がって数歩進んではみたものの、
やっぱりどこかためらいが出て、すがるように彼を振り返ったけれど
彼は私の意図を知ってか知らずか、穏やかに微笑みながら大きく手を振っていた。

…もうなるようにしかならない、と腹を括ってぎこちなく手を振り返しながら教室を後にした。


* * *

何も言わない高尾と緑間の後ろに付いて、人通りの少ない廊下へと向かっていく。
使われていない教室の前で高尾が立ち止まって、緑間もそれにならって立ち止まった。

それを受けて私も足を止めた。
だけどこの状況で口にするべき言葉が思い浮かばなくて、何度か視線を彷徨わせてから
おそるおそる顔を上げると、二人は私のことをじっと見つめていた。
その目から感情は読めないけれど、彼らが来たのは私の行動についてただすためだろう。

私みたいなただの一般人がインハイ常連校のレギュラーの練習に紛れ込んで好き放題して、
あげく今になって気付いたと思えば黙って逃げて。本当にみっともない。
ちゃんと謝らなくちゃ。そうだ、二人にはありがとうとごめんなさいを伝えるのが筋だ。

そう思った私が俯いていた顔を上げるのと同時に、
高尾がこの空気に似つかわしくない明るい声で喋り始めた。
だけど彼と付き合いの長い私は、それがいつもとは違うトーンであることに気付いていた。
なんともない風を全身で装いながら、眼差しは静かに鋭さをたたえながら私を見据えている。

私はこの目を知っている、私の苦手な眼だ。
怖くて逸らしたいけど捕食されてしまいそうで逸らせない。


「どしたの最近!全っ然来ないじゃん?お前が来ないから真ちゃんも心配してんぜ?」

「別にそんなことはないのだよ」


「………、」

「…あの日からだよな?メールも返してくれねーし。
来なかったのかと思ったけど宮地サンはお前を見たって言うし。
なぁ、あの日に何かあった?」

「…、別に何も」

「ハイハイ、何もなくないだろその反応は。……誰かに何か言われた?」

「それはない、けど」

「…そっか。けど何?やっぱ試合は見に来たくなかった?
なのにオレたちに無理やり誘われてすっげーイヤだった?」

「そうじゃない、見に行って良かったよ。すごかった、カッコ良かった。
だから…、私とは世界が違ったんだなって」

「…何の?緑間との?」

「それもあるけど、バスケ部との」

「は…?」


「私なんかがふらふら遊びに行っていい場所じゃないんだって、試合見てやっと気付いて。
今までの自分はホントにバカだったなって、…思って」

「…何それ、オレはお前なら構わないって言ったじゃん」

「それは高尾も緑間も先輩もみんな優しかったからキツく言わなかっただけで、
最初から自分で気付くべきだったのに、ほんと馬鹿でごめん。
もう行けないって二人には伝えるべきだったけど、なんか、それも出来なくて、ごめん」

「…んだよそれ、別にオレらはそんなつもりで試合に誘ったわけじゃねえし!
お前が練習見るの好きなのは知ってたけどやっぱり試合の方も見てほしかったし
絶対スゲェって言ってくれると思ったから、」

「凄かったよ、だから、やっぱりもうあそこに行くべきじゃないんだって」

「だっから!オレらはそんなつもりで誘ったわけじゃないんだって!」

「今までさ、居させてくれてありがとね。あといっぱい迷惑かけてごめん。
でも変なのが来ないからかなり快適でしょ、ってかそれが普通だよね。
本当に今までごめんね」

「……快適?普通?お前は何を言っているのだよ」


もうこの話題を終わらせようと努めて明るくそう言うと、今まで黙っていた緑間が口を開い
た。
今まで彼から投げかけられたことのない鋭い声に背筋が冷えた。
怒っているような呆れているような、その全ての感情が私へと向けられている。

その強い眼差しから、目が逸らせない。
続けて紡ごうとしていた情けない言葉が、言い訳が、喉から先に出てこない。

どうして、緑間がそんな表情をするの。
いっそ貶してなじってくれたらいいのに、緑間は何も言わず私を見据えている。

皮肉なことに、強い苛立ちをむき出しにしたその眼差しを真っ直ぐに向けられて
初めて私は、今まで緑間に敵意を持たれたことなどただの一度も無かったのだと知った。


「はは、真ちゃんの言うとおり。
なんでお前がいないのが普通とか思うわけ?」

「それは、…それが当たり前だったから」

「あー、確かにな。最初はそれが当たり前だったよな」

「!、だから」

「だから今のオレたちが、お前がいないのを当たり前って思うってか?」

「……、」


「なぁ、オレらってバスケでしか繋がってなかったの」

「それは、」

「違うよな。…あのさ、バスケをスゲーって言ってくれるのはそりゃ嬉しいよ。
でもそれでお前が姿見せなくなるってのはおかしいだろ、オレらってなんだったの」

「…何も言わなかったのは本当にごめん、だけどこれ以上は邪魔したくないから」

「…なぁ、オレたちがお前のこと邪魔者扱いしたことあった?
センパイに出ていけって言われたことあった?」

「……ない、よ」

「それが答えだろ。つーかお前がいないのが普通とかマジねーわ。
もうさお前が隣にいて、そんであそこにいるって方がオレらにとっては普通なんだよ」

「…それ、どういう」

「そのまんまの意味。だから迎えに来たんだけど?」


あそこに私がいて当然?迎えに来た?いる方が普通?言ってる意味が分からない。
思考停止しながら何度も瞬きを繰り返す私を見て、高尾が困ったように笑った。


「つーかなんでお前はそんなに自信ないんだよ、オレと緑間の友達なんだから胸張れって」

「ともだち…」

「そうだろ?オレとは言わずもがなだけど、真ちゃんともとっくに友達だろ」


友達。その言葉がすとんと心に落ちる。けれどその落ちた場所でじわりと何かが蠢いた。

ふと視線を感じてその方向を見ると、じっと緑間が私のことを見つめていた。
その目は先ほどとは違って落ち着いているけれど、その奥に強い意思を感じる。
それは今の高尾の言葉をその静かな眼差しで肯定しているように思えた。

「友達、」と小さく呟くと、私が無意識に零したその言葉に何か引っかかったらしい高尾が
口をぽかんと開けて二、三度瞬きをし、それから何か納得したようにへらっと笑った。

脈絡もなく笑ったことを不思議に思った私と緑間が高尾に視線を集めると、
高尾は「いやいや、なんでもない」とどこか嬉しそうにして、
それから仕切り直すように大きく一息ついて、そしてまっすぐに私を見据えた。


「だから、居ろよ」


駄々をこねる私を諭すような、説得するような、やさしく強い声で高尾が私を射抜く。

そんな風に言われてしまうと自分なりに考えていたこととか、
これが最善なのだと思っていたことも全部ひっくり返って、ぐちゃぐちゃになってしまう。

ずるいよ。そんな声でそんな風に私を迎えに来る高尾も、
何も言わないけれど高尾が全て代弁しているとでも言うような目で私を見つめる緑間も。

私はあの場所に行く権利なんてない、だから彼らとも距離を置くべきだ。
そんなことをあの日からずっと考えていた。バスケをする彼らを見てそうすべきだと思ったから。
だけど二人は今まで通りでいいんだと、居ていいんだと私に言う。

ずっとごちゃごちゃしていたものが、強い光にすくい上げられるように昇華されてゆく。


「ほんとに、私、いてもいいの」

「じゃなきゃわざわざ呼びにこねえよ、置物系女子さん」

「なのだよ」

「…地蔵系だもん」


「ま、とにかくさ、お前の習慣はとっくにこっちの習慣になってんの」


そう言って高尾が私の頭にぽんと手を置いた。
その手の温かさに、ずっと張りつめていたものがほどけていく。

力の抜けたふにゃっとした笑みをこぼすと、
それで全てを察した高尾の表情と声のトーンはいつものものへと戻っていった。


「最初は用事でもあったのかと思ったけどメールも返さないのはおかしいなって。
なのに真ちゃんはオレが変なこと言ったんじゃないかって疑うし?」

「当然だ、消去法の結果なのだよ」

「でもやっぱ身に覚えがないから、だからもしやあの時に誰かになんか言われたんじゃねって。
だけどお前が来てるの知ってるのなんて先輩たちぐらいだし、
今更あの人たちがなんか言うとは思えないから、お前のクラスのやつ問い詰めたりさ」

「…ごめんね」


「つーか、今日は来ないの?もしかして部活中来てんの?ってギャラリー見ちゃったりして、
宮地サンには女見てる暇あったら死ぬほど練習しろむしろ死ねとかどやされるし」

「それはお前だけだ」

「はぁ?真ちゃんだって、ボール取りに行くときチラッと見てんじゃん」

「見てないのだよ」

「見てっから、女子ギャラリー睨みつけてっから」

「睨みつけてなどないのだよ」

「で、センパイたちもさー、なんか来ないな、っつって微妙に気にしてんの。
で、オレらがなんかしたんじゃねーかってチクチク言ってくるわけ!」

「…するわけないのだよ」

「ホントにな」

「ふふ」


「な、お前はそうやってオレたちとバカやってればいいんだよ」

「バカ…、まぁそうだけど」

「オレこの三人でいるの結構好きだぜ?」

「…うん、私も」

「んでこういう時に言えない真ちゃんの代わりに言っとくけど、真ちゃんもそう思ってっから」

「…高尾」

「はいはい勝手に代弁して悪かったって。…そんじゃ、万事解決?」

「うん、…心配かけてごめんなさい」


私が小さく頭を下げると、高尾は「じゃ、そろそろ戻りますか」と大きく体を伸ばした。
その言葉を聞いて、現在の時間を確認しようと誰もいない教室を覗き込むと
後ろから高尾が「もうそろそろだろ?」と声を上げた。
高尾が言うように残りの休み時間はあと十分もない。


「ちゃんと今日からは来いよ?」

「うん」

「今日も冷えるから、暖かくして来るのだよ」

「うん、…うん」


二人の言葉を噛み締めるように頷く。

終わったと思った非日常がまた私の日常として続いていく。
色あせたと思っていた世界がまた色づいていく。ただそれだけで震えるほど嬉しい。

私にゆっくりと背を向けて緑間が歩き出した。
高尾もその後を追う、と思いきや音もなく私にすっと近付いてボソッと一言呟いた。


「やっぱ惚れてんだろ、アイツに」

「え…?」


私にしか聞こえないような声で高尾はそう言った。
それは普段のようなからかいじゃなく、確信を持った言葉だった。

高尾はそう言ったかと思うと小走りで緑間の後を追いかけていって、
「置いてくなって真ちゃんー」と緑間の背中をバシバシと叩きながら笑っている。

唐突に告げられた、今までとは違うまるで宣告のようなその言葉。
どうして高尾がいきなりそんな事を言ったのかが分からなくて、
私は遠ざかっていく二人の後ろ姿を見つめながら、ただその場に立ち尽くしていた。


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