「――そういえば、今日の晩御飯は何にするつもりだ?」
「えー?うーん、もやしかな」
「そうか、もやしで何を作るんだ?」
「えっ も、もやし…を食べる」
「…食材をそのまま食べるということか」
「あーあー、…あっ!茹でる!茹でて食べる!」
「やはりな、今日も俺のところで食べていくといい だがな」
「あっ!あの、もう部屋に戻るね!もやし茹でなきゃ!じゃ!」
「遠慮することはない、君のおかげで俺の料理の腕は着実に上がってきている
他人に食べさせても支障が無いほどまでに、だ 味は保障しよう」
「ぐえっ、襟っ、ちょっ、苦しい!苦しい、それ!
ていうかそっちの遠慮をしているわけじゃなくて!」
「では、何故逃げようとしたのか聞かせてもらえるかな」
「なんだか説教されそうだったのと…、
毎度ながら施しを受けてるようで申し訳ないのが…」
「説教を受ける理由が分かっているなら改善したらどうだい」
「…はひ、すみません」
「それに俺は別に施しているとは思っていない、
少し多めに作った料理を君と食べているだけだ、だから君が気負う必要は無い」
「…乾って見た目に反して世話焼きタイプだよね」
「主食が芋けんぴだとか今日の夕食は茹でたもやしだとか言う人を
放っておける人間の方が少ないんじゃないかな」
「…そんなものですか」
「そんなものだな、ちなみに今日はオムソバの予定だが」
「おおーオムソバ!…でもタマゴ上手にできる?」
「…君に手伝ってもらえればね」
「じゃあ、一緒に作りますか」
「そうだな」
「あ、じゃあもやし!あと具になりそうなの持ってくる」
「そうだな、よろしく頼むよ」
「それじゃ、取ってくるねー」
「ああ」
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【501号室の世話焼き乾と503号室の世話焼かれ女子】