地底の神聖でもないある日

地底で生きる生き物地底。
一筋として光が入らない深い深い地下の世界。深く根を下ろした巨木のような構築物は地上に向かって聳え立ち、まるで地上を支える柱のように見えた。通路や階段が螺旋状に構築物に伸びている姿は不出来なオブジェのようだ。
その構築物を中心とした、周囲には人の形をした『生き物』が生活していた。
それは人の姿をしていた。四肢があり、指があり、顔があり、髪の毛のあるその生き物は紛れもない人間の姿だった。
しかしそれを人間と呼ぶことは出来ない。
ただ、それらを『生物』以外に表現する言葉が存在しないだけだ。

「太陽から逃れるために地底に潜ったが」

『生物』は言う。極めて人間に近い、最も人間らしい声で。

「平和とは、ここまで思考を腐らせてしまうとはな」

これが、この『生物』の意見だった。
平和とは一見善意に満ち溢れた、悪意の存在しない理想とする世界だ。だが逆に言えば、競う事を忘れ、挑戦する事を捨て、向上する事を止めた至極退屈な世界とも言えるのだ。この地底は、すでにその腐った平和に侵略されていた。
だからこそ、この『生き物』は恐怖する。
この腐った平和に、ではない。その平和に甘んじている同族に、だ。
平和ボケという言葉ですら生ぬるい。
地上など簡単に掌握できるほどの力と知能を持っていながら、それをみすみす手放してしまうのかと思うと、それがとてつもなく、怖い。

「全く……」

神や悪魔と恐れられる『生物』カーズは、辺りを見ながら厳然と告げる。

「あいつはどこだ」

カーズの言葉に反応した男が振り返りる。応えるために振り向いた、というより呟いた言葉が聞こえたから振り向いたという感じだった。

「どうした」
「あいつはどこにいる」
「あいつ……?あぁ、あいつなら向こうの岩陰で何かやってるぜ」

その言葉と共に差された先を見る。カーズは何も言わずに差された場所に向かい、岩陰を覗くと、そこには一人の少女がいた。
歳は十五、六歳ぐらいの、紫がかった短い黒髪の少女。髪には少しクセがあり、ところどころはねている。本人は大して気にしていないようだが、時折手で触っているところを見ると、どうでもいいというより直そうとしても直らないから仕方なく放置しているようだ。
彼女の首元と左手首、右足首には金属の装飾が身に着けられ、その姿は踊り子を連想させる華やかさがあるのだが、そのイメージをぶっ飛ばすほどの服装を少女はしていた。
服と呼ぶには色々省きすぎた、無駄をなくした結果こうなりましたという人類の先の先の先まで行って原点に戻ってきたような格好だった。隠すべき場所は隠しているが、ほぼ裸体に近い。しかしこの地底に住む『生き物』は皆同じ姿をしていた。寒さや暑さのない地底では衣類で無駄に肌を覆う必要がないのかもしれない。
そして額。
三本の小さな角が生えていた。
角、というと鬼のような厳ついものを想像するかもしれないが、少女は違った。鬼とは真逆の、水晶のように透き通った鉱石のようだった。しかしその角の質や本数には個人差はあるようで、一本だけの者もいれば二本の者もいる。鉱石のような角を持つ者もいれば岩石を削ったような角を持つ者もいる。角は言わば、その者の個性のようだ。
どちらにしろ、その角は少女たちを人間と違う『生き物』と神格化する象徴の如く存在していた。
ちなみに少女を十五、六歳と言ったが、それはあくまで人間から見た感覚であり、実際はその何十倍も年を取っている。そう見えないのは、まさしく彼女が『生き物』であり人間でない所以だと言えるだろう。
しゃく、と少女は果実をかじっていた。右側には果実、左側にはそのゴミ。右から左へと流れるように食べ続けている。カーズがすぐ後ろに立っていることに気付いていない。

「おい」
「ッ!!」

上から降ってきた声に少女はビクッと肩を揺らした。口に含もうとしていた果実を運ぶ手が止まる。
声を聞いてようやくカーズの存在に気付いたのか、まるで悪い点数のテストが見つかった子供のように少女は恐る恐る後ろを向いた。

「カーズ……」
「どうやら貴様の記憶能力は虫けら以下のようだな」

冷めた目で告げられ、少女の身が強張る。

「また外界に行ったな?」
「……。行ってな」
「行ったな?」
「……はい」

有無も言わさぬ威圧感に押されて少女は頷くしかなかった。しかし、それは威圧されてありもしない非を認めたのではなく、彼の指摘が的を射ているだけに反論のしようがないような答え方だった。
彼女たち『生物』は人間のように頻繁に食事をする必要はない。それは活動時に消費するエネルギーが少ないからだ。そうでなくても飲まず食わずでも一年は生きられる彼女たちには、最低限生きるために必要な食料があれば何ら問題はない。もちろん足りなくなれば外に出る事もあるが、今現在この地底には必要最低限の食料は貯蓄してある。外に出る必要がないほどに。
しかし少女が手にして口にしていたのは地底に貯蔵してある食料にはない果実だった。これは外に出たという決定的な証拠になる。
だが、カーズが少女が外に出たという確信を得た部分はそこではない。
彼が見ているのは、果実を持つその手だ。

「貴様は言葉が理解できないのか?それとも、理解している上でわたしをからかっているのか?」
「……何がいけない」

少女は不機嫌そうにカーズを睨む。

「確かに外界には行ったさ。だが今は夜だし、太陽を気にする必要はないじゃあないか。私たちにとっての夜は人間にとっての昼だ。人間だって寝ているし、危険なんて……」
「ならばその傷はどこでついた」

うっ、と少女は押し黙った。
少女の手首から肘にかけてぱっくり裂けている。傷口は塞がりなくなりかけているが痛々しい傷が薄らと残っていた。
この地底は整備されているわけではなく、自然が作り出した産物の一部だ。ゴツゴツとした岩肌もあれば荒れた道路のように酷い凹凸もある。だが、少女の傷は転んだり引っ掻けたりして出来るような傷ではない。明らかに第三者から付けられたものだ。切り口からして、鋭利な刃物といったところか。
探るようなカーズの視線に、少女は居心地が悪そうに視線をずらす。彼女は何も言っていないが、空気で何となく理由が伝わってきた。
言おうとしない少女に代わって、カーズが答える。

「フン、大方人間の生活がどんなものかを見に行ったついでに果実を頂戴してたら見回りの人間に気付かれて傷を負った、というところか?」
「ッ?!」

何故分かった、と目で訴える少女に、カーズは呆れたように息を吐いた。

「貴様がわたしの身内だと思うと虫酸が走るな。もう言わん、好きにするがいい」

少女は尖らせていた唇を咄嗟に動かした。しかしその口から言葉が出ることはないのを知っているカーズは、振り返らずにその場を後にした。
ある場所に向かいながらカーズは先程のことを思い出す。

「(何度このやり取りをしただろうか)」

言っても無駄なことは分かっている。少女は気になることがあると落ち着いていられないタチだ。たとえ危険な行為であろうと、好奇心の前では危険さえ興奮材料の一つにしかならないからだ。
太陽の元では活動できず、夜の世界しか知らない少女には太陽のある地上は格好の好奇心の的だろう。ましてや人間という自分たちや動物以外の生物がいるならなおのことだ。人間の生活など見て何が楽しいのか、カーズには甚だ疑問なのだが。
だが、カーズはあの少女をバカにするつもりはない。好奇心は言わば行動する原動力だ。行動し、目で見て耳で聞いた知識は無駄にはならない(その知識が正しいかどうかは別にして)。そしてその知識をもとに考える事を身に付け更なる疑問と好奇心を見つけていくことは、周囲や己の成長の手助けとなるのだ。カーズとしても、それは望ましいことである。

「(少なくとも、脳みそが機能していない同族よりはマシな生き方をしているだろう)」

ただあの少女がバカだというならば、注意力が欠けているところか。抜けている、と言った方が正しいかもしれない。裏を返せばそれだけ夢中になっているという事だが、あの好奇心旺盛な少女の場合はただドジを踏んだだけだろう。
好奇心が旺盛、か、とカーズは自嘲気味に笑った。

「全く、誰に似たんだかな」

カーズはとある場所に辿り着き、小さく動く二つの布の塊を静かに見つめた。





やってしまったか、とややヘコむ少女に声がかかった。

「何だァ〜?また外界に出たのか?」
「エシディシ……」
「懲りねェ〜なぁお前も。行けばカーズに何か言われるのは分かりきってることじゃあねェか」
「そうだけど…」

少女はムスッ、と不機嫌そうに呟いた。
どうしてだかカーズは少女が外に出ることを良しとしない。外に出たことがバレる度に、何故外に出たのかと問い詰められ、呆れたように背を向けられるのがお馴染みのお説教パターンである。聞いても納得できる理由は得られないという鬼畜仕様だ。
彼女には彼の言う事が理解できない。言っていることが分からない、というわけではなく、言っている『意図』が分からない、という意味だ。別に異次元の電波さんよろしく、呪文のような言葉で会話しているわけではないから彼の言う事は当然理解できる。しかし、そこに怒られる『理由』が含まれないから何故怒られるのかが分からないのだ。今に始まったことじゃないにしても、やはり理不尽だと思わざる得ないのは自分だけなのだろうか。
これだから子供はひねくれるんだぞコノヤロー、とすでに曲がりかけているレイナスは心の中で呟いた。

「私はそんなに悪いことしてるんだろうか……」
「さぁなァ。おまえもだが、何でこうもカーズも突っかかるんだかなぁ。あいつの考えてることは、時々わからん」
「エシディシに分からなかったら、私にはもっと分からないな」

少女は苦笑いをしてため息をつく。
毎度のことで慣れてしまったとはいえ、理由もわからずに責められるのはやはり気分が悪い。せめて八つ当たりだとか言ってくれれば多少なりともすっきりするものの、それもない。
過ぎ去ったもやもやが愚痴となって言葉に現れる。

「はぁーあ。頭の良い奴の考えることなんて私には理解が出来ない。確かに傷を負わされたのはドジだったと思うけれど、それであいつの不利益になることなんて何もないじゃないか。ストレス発散に私を使うなあの堅物め。そうは思わない? エシディシ」
「……」
「…エシディシ?」

ふとエシディシの方を見てみると、口に手を当て肩を震わせていた。何かと思えば、笑っているようだ。頑張って堪えてるようだが、クックッと喉が鳴ってバレバレである。普段から何かと人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべている男だが、何がそんなに面白かったのか分からない少女は不審な視線を送る。

「何がそんなに面白いのさ」
「ククク……。いやァ、おまえにもカーズと同じ血が入ってるはずなんだが……こうも違うと実は赤の他人なんじゃないかと思えてくるなァ。いや、好奇心が旺盛というとこは同じか?愉快愉快」
「どこが愉快なのかさっぱりなんだけど」

相も変わらずツボが良く分からない男だ、と少女は内心呟く。

「まぁ、ここはあいつの言う通り少し大人しくしたらどうだ?おまえはいつもチョロチョロチョロチョロ動き回るからなぁ」
「えー……エシディシまで説教なのかい?肩のプロテクターを針山にしてやろーか!!」
「おれのは説教じゃあない。提案だ」
「…何が悲しくて唯我独尊自己チュー野郎の言う通りにしなきゃいけないのさ」
「誰が唯我独尊なのだ?」

ビクゥ?!と肩が大きく跳ね上がった。勢いよく振り返れば、なぜか二つの布の塊を抱えたカーズが仁王立ちしていた。
ひやり、と少女の額に汗が滑る。いつの間に、と音もなく背後にいたことにではない。いつからいて、どこから聞いていたのかということにだ。ついさっきなら、誰に対する発言だったかは誤魔化すことができる。しかし、それ以前からとなると悪意の矛先が明確に出されてしまっている。本人の目の前で悪口を言ったようなものだ。完全な死亡フラグだ。
やってしまった、と少女は本日二度目の後悔に苛まれた。ちらっとエシディシに助けを求める視線を送ってみたが、彼は爆笑寸前のようでブルブルと体を震わせていた。駄目だ、役に立たないと少女は心の中で舌打ちする。
孤立無援、というより自業自得な少女は伏せていた視線をカーズに戻すと、いつの間にか膝をついて真正面で睨まれている事に気づいた。更に冷や汗が流れる。

「カ、カーズ……むぐっ?!」
「わたしは一族としての誇りを持っている。人間などと下等の生物とは違った、優れた頭脳と肉体を持つこの一族をな。この地底にいるのは忌々しい太陽から逃れるためだ。断じて人間などからではない。太陽で傷を負ったならまだ分かるが、あのような下等生物に傷を負わされるなどあってはならんことだ。貴様のような小娘には分からんようだったからわざわざ忠告してやったというのに……」

グッと、頬を摘まむ指に力が入る。

「生意気なことを言うのはこの口か?この口かァ?こ、の、く、ち、カァ〜?」
「いふぁふぁふぁぁぁぁぁぁ!!」

ギリギリギリギリグイグイグイグイグイ―――――――!!とゴムのように頬を引っ張られ、少女の目に涙が浮かぶ。
『生物』の彼らは人間とは異なる人体構造を持っている。致命傷もものともせず、回復力も人間の非ではない。骨が折れようが手足が千切れようが体が爆発しようが、数分もすれば跡形もなく治ってしまう。
しかし、それと痛みを感じる事は別だ。
傷は確かに治る。だがその間の痛みはしっかり感じているのを忘れてはいけない。ただ回復力が驚異的に早いというだけで、痛みを感じないというわけではないのだ。
どんな傷も瞬時に回復する力も、抓られる頬の痛みを和らげることはできない。
万力のようにギリギリと締め付ける彼の指に耐え切れず、少女は涙目になりながらキッと睨んで素早く手を伸ばした。

「ヌゥ?!」
「ふぅぅ……」

カーズの頬に。
「貴様……」
「……」

ギリッ、とカーズが力を強めると少女も力を強める。カーズがもう片方の頬を抓ると少女も同じことをする。
ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ!!とお互い一歩も譲らない。言葉こそ発さないが、口以上に目が語っている。
お前いい加減にしろ、と。
数分後、どったんばったん、という激しい音が響き、エシディシが地面を叩いて笑い転げる姿が目撃された。





「貴様に仕事を与えてやろう」

不毛な争いが一通り終結し、カーズは少女にそう言った。

「能無しの貴様でもできる至極単純な仕事だ」
「とても癇に障る言い方だから即行で却下したいところだけど、内容だけでも聞こうかな」
「こいつらの面倒を見ていろ」

言ったと同時に何かがカーズの手から何かを包んだ布が放られた。それも二つだ。
布の隙間から、触れば跳ね返しそうなつやつやとた弾力を持った肌が見えた。そして次には顔。放られているというのに目を瞑り、安らかに眠っていた。この状況でなければ心が和らぐ微笑ましい姿だが、何故寝ていられるんだと逆に不審に思う。次に手。大人の三分の一もない紅葉のような小さな手だ。手はグーに握られていてまるで子宮にいる赤子を連想させる。

「(いや、あれは)」

赤子だ。
少女はギョッとして咄嗟にスライディングのごとく手を伸ばしてキャッチする。何とか受け止める事は出来たが、片手に一人ずつ受け取ったせいで地面に手をつくことはできなくなってしまった。かと言って今更完全に前のめりになったバランスを立ちなおす事も出来ない。しかも行く先には岩が待ち構えている。このままでは赤ん坊を下敷きにしてしまうどころか顔面から岩へ突撃してしまう。
少女がカーズを見ると、にやりと口角を僅かに吊り上げた。あの野郎わざとか、と毒づきたいところだが、今はそんなことをしている場合ではない。顔面から突撃するのは避けたい少女は献上するように赤子を支えた手を頭上に上げ、体をひねった。視界に赤子が入り、これなら下敷きにする事はないと胸を撫で下ろした。
しかし、ここで一つ事実をいうと、少女の体はまだ地面についていない。今までの一連の動きはすべて空中での出来事だ。
浮いた体は重力に従って地面に落ちていき、ゴガンッ!!と勢い良く岩と衝突した。しかも体を反転させたせいで岩がいつ来るのか分からず、衝突への準備が出来なかった。意識が飛びそうになったが、かろうじて踏みとどまることがてきた。頭を強く打つと星が出るという今世紀初の体験した瞬間だった。
うっすらと視界に映った赤子を見ると、瞑っていた目を開いて楽しそうに笑っている。良かったと思うとと同時に、肝の据わりっぷりに呆れてしまった。さすがは神や悪魔と恐れられる一族の子だ。

「フンッ」

カーズはバカにしたように鼻を鳴らして少女に背を向けた。

「ちょ、カーズ!!赤子を放るなんてなに考えてるんだ!!この人でなし!!」
「残念だが、わたしは人間ではない」

屁理屈を、とわなわなと拳を握る少女を無視して、笑いすぎて窒息しかけているエシディシに目線を移した。

「行くぞ、エシディシ。いつまでも笑っているな」
「く、クックック……あ、あぁ」
「行くってどこに行くし?」
「貴様には関係のない事だ。いいからガキどもの面倒を見ていろ」

そう言い残して二人はどこかへ行ってしまった。途中、カーズがエシディシにチョップを食らわせていたが、さっきの取っ組み合いが相当ツボだったんだろうなぁ、と会話が聞こえずとも簡単に想像する事が出来た。
残された少女は赤子に目を落とす。
一人の赤子は眠ってしまったが、もう一人の赤子は周囲をきょろきょろと見たのち、少女と目が合うと緩く笑った。指を手に押し付けてみるとギューッと握られる。赤子独特の仕草に少女は思わず笑みをこぼした。

「(人間の赤子も、きっとこんな感じなんだろう)」

実際に人間の赤子を目にしたことは無い。
人間は昼間に活動し、夜は家の中で眠りについている。見るとしたら昼間なのだが、『生物』である彼女たちは太陽の元では生きられない。どんなメカニズムでそんな体になったのか分からないが、たった一つ言える事は、日光に当たれば跡形もなく消滅するという事だけだ。よって、太陽が出ている間はこの地底のシェルターからは外に出る事は出来ない。
カーズは、人間を下等な生物だと言った。
彼からすればそう見えるのだろう。自分たちよりも脆弱で、秀でた能力もなく、寿命も『生物』の十分の一もない人間をどれだけ過大評価しても神や悪魔と同列の『生物』には遠く及ばない。食物連鎖なら『生物』は間違いなく頂点だ。
だが履き違えてはいけない。
『生物』も決して、万能ではないということを。
一国を落とせる力も、永遠と呼べる寿命があろうとも、太陽のあるうちは自由に歩くこともできない。ましてや顔を出す事も出来ない無力な生き物なのだ。
下等とは言わない。
ただ、

「人間も不便だと思うけれど、私たちも大して変わらないと思うけどなぁ。そうは思わない?ワムウ、サンタナ」

『生物』レイナスは、二人の赤子に問いかける。
言葉を知らぬ赤子は、言葉の代わりに人間のような笑みで返した。



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