「よ〜い…スタート!」
バシャッ!
「うん、いい記録!さすが志波選手、水泳もお上手ですね!」
「…茶化すな」
「いやいや、本当に。いいなぁ志波くんはスイスイ泳げて…自分も運動神経はいい方だとは思うんだけどこればっかりはなぁ…」
「?…おまえも普通に泳いでるだろ?」
「軽くお遊び程度にはね、水に入るのも好きなんだけど…」
「…だけど?」
「どういう訳か息継ぎができないの」
「??この前50Mクリアしたって喜んで……!まさか…」
「…そう、息継ぎなしで乗りきった。泳ぎ終わった後お花畑が見えた気がする…」
「…危ない事はするなよ」
「限界は心得てるつもりだから大丈夫」
「…しかし、じゃあ今日ここに来なけりゃ…」
「工事あるの知らなかったみたいだし志波くんは身体動かしたいんじゃないかと思って。それにあわよくば今日こそは息継ぎをマスターできればと…」
「確かに夏以来久し振りに泳げてさっぱりしたな…サンキュ。じゃあさっそく息継ぎ練習始めるか?」
「教えてくれるの?よし、じゃあお願いします!」
「…パーカー着たままか?」
「はっ!忘れてた!よいしょっと…」
「……」
「…志波くん?どうかした?」
「いや…昨日変わってないって言ったが、やっぱ変わるもんだな……」
「……?…やっ!志波くんどこ見てるのよ!」
「…はっ!わ、悪い…いや違う!別に胸を見てたわけじゃ…」
「これでも頑張ってお腹でないように気を付けてるのに!」
「……腹?」
「志波くんがいつも甘いもの美味しそうに食べるからついわたしも…ってあれ?お腹でてるって事じゃないの?」
「まさか、むしろもっと食え。おまえ軽すぎだ」
「そりゃ志波くんと比べたらさすがに軽いけどこれ以上増えたら…う、考えたくない……ん?お腹じゃなかったら何が…」
「っ!…そうだ飲み物買ってくる。うん、おまえはもっと健康的になるべきだ」
「え、いいよ別に。志波くんが欲しいならわたしが買ってくるよ?」
「いや、オレが買ってくるからおまえはここに…」
「なぁなぁ、あの彼女かわいくね〜?」
「どれどれ?お、本当だ。しかも結構…むふふ」
「な!声掛けてみようぜ」
「よし……ん?隣にも誰か…」
「お、何々連れの女の子いるの♪」
「「!!!」」
「あ、あっちに流れるプールがある〜…」
「よ、よ〜し行ってみようぜ〜…あはは〜」
「…志波くん?」
「…やっぱり一緒に買いに行くぞ」
「え、うん。もちろんいいけど急にどうしたの?」
「パーカー着てけよ、前もしっかり閉めろ」
「わかった…けどここ暖かいから閉めなくても大丈…」
「外は秋だ。閉めとけ」
「う、うん?」
「……手」
「…うん!」
(さっきは急にどうしたんだろう?それに結局お腹じゃなかったらどこが…ん?パーカー…?)
「…!」
ポカポカッ
「痛っ…?なんだどうした…顔赤いぞ?」
「知らない!志波くんのバカ!」
「??」
(もう、志波くんったら!……それにこれは志波くんのせいだもん…)
「…おい大丈夫か?さらに赤くなったぞ?」
「な、何でもない!明日行く場所考えてるの!」
「……顔が赤くなるような場所…」
「違っ!……志波くんのバカー!」