「あれは俺がまだ田舎に居た時だったかなァ、帰りが遅くなって、やべっトオチャンにシバかれるって思って急いで帰ってた時、」




夜の9時過ぎ、真っ暗部屋にロウソクが1本だけあり、語り手以外シーンとした場所
そこに私は居た




今日は皆で怖い話大会をしよう!!と何故か朝から近藤さんが張り切っていて、隊士は強制参加で行われていた




女中の人は、自由参加で良いのに殆どの人がここに居る

怖い話とかお化けとかの類が大の苦手な私からしたら、なんで自由参加の人まで居るのか全然理解出来ない



「ふと、後ろを振り返ると遠くの方に青白い光がーー」



別の事を考えて気を紛らわそうと目を瞑って別の事を考える



「…もしかして咲夜ちゃん怖いの?」


『え!?』


ビックリして隣をみると山崎君が心配そうにこっちを見ていた


「大丈夫?」


伺うように私の顔を覗き込んできた


『だだだだ大丈夫だよ!?わわわ私隊士だし、コンナノヨユウダヨ!?』



アハハハと笑ってなんとか誤魔化す


「別に怖いなら、怖いって正直に言っても良いんだぜ?」


そう言って副長が振り返った


「怖いなら手でも繋いでやろうか?」



からかう様にコッチに差し出して来た手を遠慮する


年が一番下だからって、子供扱いされるのは嫌だ!!
ここは意地でも通さなくちゃ!!



『だだ大丈夫です!!全然平気だもん!!』


こんなの我慢すれば直ぐ終わるし、別に本物のゆ、幽霊が出る訳じゃ無いもんね!!



大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせる




「クスクスクス、本当に大丈夫?」



『もう、山崎君大丈夫だってば!!』


「え?…俺何も言って無いよ?」



『あれ?土方さん今私に喋りかけました?』


「俺は何も言ってねェぞ」


『え!?』



2人の返事にサーッと血が引いていくのを感じる

……もしかして、ほほほ、本物のゆゆゆ幽霊?








「どうしたんでィ?」


『ヒィッ!?……た、隊長?』



突然耳元から声がしたと思ったら、沖田隊長だった


「もしかして咲夜も怖いんですかィ?」


小馬鹿にした様に私を見た後、山崎君とは反対の私の隣に座った


『別に怖い訳じゃ……?私も?』


私もって事は、もしかして隊長も怖いのかな?



『もしかして、隊士も怖いんですか?』


意外過ぎるけど、もしそうならなんだか仲間が出来たみたいでちょっと安心する



「俺が怖い訳ねェ無ェだろィ?それよか、やっぱ怖ェんじゃねェか」



ニタァと笑ってコッチを見下ろす隊長を見てハメられた事に気付いた



恨めしげな顔で睨んでみるけど、そんなのが隊長に利くわけ無くて
ちょっと笑われただけだった






『(ど、どうしよう…本気で怖くなって来ちゃった…)』



今語り手をしている田中さんは話上手で、オマケにさっきの幽霊の事もあっていつも以上に怖く感じる



グイッ



『ッ!?……隊長?』


「怖いんだろィ?」



いきなり手を引っ張られたと思ったら、少し笑って言ってそのまま手を握っていてくれた


『…ありがとうございます』



不思議な事に、人の体温を感じるとさっきよりも全然怖く無くなった















『…や、やっと終わったー!!』


あの後、田中さんが立て続けに怖い話をしてやっと怖い話大会が終わった


良く頑張ったよ私
自分で自分を誉めても足りないくらい頑張った





「よし、じゃあそろそろ本番行きますか〜!!」



『……本番?』




「咲夜ちゃん知らなかったの?怖い話大会の後は肝試しやるんだよ」




意味の分からない言葉に1人キョトンとしていると山崎君が教えてくれた




…肝試し大会?
ナニソレ、オイシイノ?



『ちなみに自由参加だよね?』



「怖い話大会出た人は強制参加だよ」



僅かな希望も一瞬で粉々に砕け散った



「クスクスクス、大丈夫?」


『ヒィッ!?』


またどこからかさっきの声が聞こえた





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