ベリー | ナノ










ーー土方さんが刺された


さっき総悟から聞かされた言葉が頭から離れない





偶々稟をストーカーしてた奴も祭りに来ていて、2組に別れた所を狙ったらしい





「今日2人共同じ格好だったから鈴菜を稟と見間違えた奴がカッとなっちまったらしいでさァ!!」




走りながら説明をしてくれた総悟の様子を見る限りとても嘘だとは思えない




どうしよう…
私のせいだ


私がトシに頼ってバッかで、ちゃんと解決策を考えなかったから、



私が油断して、平気だなんて言ったからトシや鈴菜にまで…





刺されたって、大丈夫だよね?
死んじゃわないよね?



だって私、まだトシに返事もしてないし、私も大好きだよって言ってない



嫌な事ばかりが浮かんで仕方がない
自然に足が速くなる





『!!』



神社のほこらの前で人がうずくまっているのが見えた



『トシッ!?』




「……稟?」



ハァハァと肩で息をする私を見て、驚いた様に目を大きくするトシが居た


良かった…
ちゃんと生きてた




トシの姿を確認した途端、力が抜けてヘナヘナと地面に座り込んでしまった





「オイ、大丈夫か?」




『だいじょ、ぶ……トシは!?』



「俺?何が…?」






『…ストーカーが私と鈴菜を見間違えて、カッとなって…トシを刺したって総…悟が……?』





改めてトシの姿を見ると、服も汚れて無ければ刺された傷も見当たらないし血も出ていない

と言うか怪我1つしてない





…と、言うことはもしかして





『……嘘?』





2人が嘘を付いたの……?
それもとどちらか一方が?



確認しようと2人を捜したが、姿が見えない








状況が呑み込めない私に、同じように状況が呑み込めてないであろうトシが口を開いた





「…ストーカーは本当に来た」



『!?』











花火も終わってそろそろ鈴菜と戻ろうとした時
目の前に帽子を被った男が立ちふさがった





「お前、…もう許さねェぞ!!」



「「?」」




ウォォオ!!と叫びながらいきなり俺達の方へ走って来る




「トシッ!!」



「!!」




鈴菜が叫んだのとほぼ同時に俺に向かって殴りかかって来た




ガシッ!!




「なっ!?」




だが、相手は見た所ただのおっさんで俺は現役の高校生

剣道で日々鍛えてる俺がおっさんに負ける訳も無く、殴られる前に腕ごと掴んで即座に捕まえてやった







「……さすが」



すぐ後ろでパチパチと鈴菜以外にも周りの人達からも拍手の音が聞こえた





俺がソコラのおっさんに負けるか
鍛え方が違うわ




「さてと…やっぱりテメェだったか」




「………。」



捕まえた際に被っていた帽子が脱げて、出て来た顔はやはり例のストーカーだった






「お、お前が悪いんだ!!稟ちゃんの周りをチョコ間かとうろつきやがって!!今だって2人でイチャイチャと…!!」




どうやらコイツは、鈴菜の事を稟と見間違えているらしい


確かに今日の格好は同じだが顔みたら一目瞭然だろォが




「良く見ろ、コイツは稟じゃ無ェよ。後ろからコソコソと犯罪じみた事してっからそんな事も分かんねェんだよ!!」



男だったらハッキリ言ってキッパリフられろボケ



「………」



そうこうしている間に誰が呼んでくれたのか警察が来て、ストーカー野郎は連れて行かれた




















「ーーと言う訳だ」



もう大丈夫だから安心しろ、




そう言って、いつかの時の様に私の頭をポンポンと撫でた


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