ベリー | ナノ









「大会まで時間がねェ!!全員体調管理には気を付ける様に!!解散!!」



近藤さんの言葉で今日の練習は終わった






そうだ、最後の大会が後少しと迫っている
今は気を散らしてる場合じゃねェ


しっかりしねェと他の奴らに顔向け出来なくなる



稟の事は一旦考えねェようにしておこう




「今は、集中しねェと…」


『何に??』



「だから、大会に…ってウオォ!?稟!?」




背後から現れたのは今正に、考えねェ様に考えていた稟だった



『ごめん、そんな驚かすつもりは無かったんだけど…』



申し訳無さそうに謝って来る稟はいつもと変わり無く接して来ていた


取り敢えず気まずくなる様な事は無い様で安心する



「悪ィ、ちょっと考え事してたから…こんな所で何やってんだ??」


『バイトの帰り』



昼間総悟の言ってたやつか、



「へェ、どこでやってんだ?」



『駅前に喫茶店あるでしょ?あそこだよ』


その場所なら、この道でからだと稟の家には遠回りになるだろう






「何でこの道を…」



言いかけた時、後ろの方で男がこちらを見ているのに気が付いた


遠目で目が会うと、サッと角に隠れるその男

コイツは…




稟本人も気付いて居るらしく、俺が顔を見ると困った様に目を合わせて来た




「…取り敢えず、歩くぞ」



手を引いて、少し早めに2人で歩く
その間にさっきの男に心当たりが無いか訪ねた






『多分、バイトのお客さんだと思うの』



まだそんなに入ってる訳じゃ無いけど、そんな私でも知ってるくらい常連の人



初めは仕事中ジーッと見られてる感じがしてて、その内私が居る時は絶対お店に来る様になった


そして今日、帰り道に付けられてるのに気付いて無駄かも知れないけど

家がバレない様に撒いて帰るつもりで居たのに中々撒けなくて困って居た時に
偶々トシを見付けて助けて貰おうとしたのだ



『巻き込んじゃってゴメン』




シュンとして、本当に申し訳無さそうにする稟


「気にすんな、怖かっただろ??…大丈夫か?」




俺的には頼られて嬉しい部分も有るが、

ずっと知らねェ奴にストーカーされて、精神的にも辛かったんだろう、

稟はさっきから下を向いている





そんな稟に
安心しろ、と言う意味も込めてポンポンと頭を撫でた



『!!』


ビックリしたのか、ガバッと俺の方に顔を上げた



「俺が何とかしてやるから、安心しろ」




『!!』




そう言ってやると今度はまたサッと顔を下に向けたあと、声がした


『…ありがと』







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