ーーザーザーザーザー




雨が降る音が聞こえてそれ以外は何も聞こえない



いつもなら沖田さんが土方さんにちょっかい掛けたり隊士の皆の声がどこに居ても聞こえるのに…



此処はどこ??


私屯所に居たんじゃ無かったっけ…??





ーー何も聞こえないし、何も見えない









『……んッ…??』



そっと目を開けるとやっぱり皆居なくて
ただ雨の音だけがザーザーと壁越しに聞こえるだけだった



雨だからか電気が無いからなのかその両方なのか分からないけど、辺りが暗い


いったいどれ位気を失っていたんだろう





明かりを捜したくても手足を縛られているので思うように身動きが取れない



此処はどこ??









『…皇子!?大丈夫ですか!?』




少しして目が慣れてきたら直ぐ側でカイ皇子が私と同じように手足を縛られて倒れているのを見つけた







そう言えばホテルの床が崩れ落ちたんだ


此処に皆が居ないって事は私たちは捕まってしまったのだろうか??






「……んッ…??…此処は??」






目が覚めた皇子が辺りを見渡す
私も分からないのに皇子も此処がどこだか分かるはずもなく


取り敢えず今私が分かる事だけを説明する










『私のせいですいませんでした』



皇子のお世話係りで楽しませる筈だったのに
寧ろ逆に危険な目に合わしてしまっている



皇子にも真選組の皆にも私のせいで
凄い迷惑を掛けてしまっている…














「謝らないで下さい」



そう言った皇子は私に向かって微笑んでいた






「誰も咲夜さんのせいだとは思って無いです。…きっと今頃真選組の皆さんも私達を探してくれている筈ですよ。」



ーーだから自分を責めないで



そう言って優しく笑ってくれた





…そうだよね、
皆きっと助けに来てくれる


私よりもカイ皇子の方が
皆を信頼してるッてどうよ??


そんなの何だか悔しいしきっと皆は私の事を信じてくれている筈!!



信じて待とう





それにーー


『…ありがとうございます。フフッ』




「‥??どうかしましたか??」





急に笑った私を不思議に思ったのだろう
皇子がさも不思議そうに聞いてきた





『すいません。ただ、やっぱりカイ皇子はそうやって笑った方が素敵だと思ったので…』



「…??」





ずっと表情上だけでニコリと笑っていた皇子より、
さっきみたいに優しく微笑んでいる方がよっぽどらしいと思ったのだ





『本当は楽しく無いのかなって思ってたんです。でもまさか今見れると思ってなかったので』




クスクス笑っている私に皇子は
ビックリしたような困った様な何とも微妙な顔をしていた





「…咲夜さんは変わってますね」




『そうですか??』




クスリと嬉しそうに笑って皇子が続ける


「はい、こんな時に他人の事で嬉しそうにするなんて変わってます」




『う〜ん…それはほめ言葉として受け取っておきましょう!!』



そう言ってお互いに顔を見合わせて笑った










…さてと


『速いとこ皆に居場所を教えないといけませんねェ…』




よっこらせっと、後ろで縛られている腕を足を潜らせて前に持って来る




『ポチッとなっと』


そして帯の間に隠して置いた装置のボタンを押す



「…??何をしたんですか??」





一連の動作を見て驚きながら、何をしているか分からないと言った様にしている




『発信機のボタンを押したんですよ』


さっきまでパニクってて忘れてたけど、
緊急用にちゃんと発信機渡されてたんだった


ニシシと笑いながら説明を始める






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