『…今日からコチラでお世話になる事になりました。天野紅葉と申します。』



ぶっきら棒に…いや、心底嫌そうな不機嫌な顔を隠さず表情に出しつつも、俺達と同じ隊服を着て深々と頭を下げる…女


……これが俺たち真選組と、天野紅葉との出会いだった







「…おい、近藤さん。確かにウチで面倒見て欲しい奴が居るって、とっつぁんから話があったのは聞いてたが……コイツはどういう事だ?俺は女だなんて聞いてねぇぞ」


女中ならまだしも隊士として真選組に置くなんてとんでもない



「…イヤァ、俺も初めて会った時は驚いたが、とっつぁんがどうしてもって言うからさァ…取り敢えず?連れて来た」


「そんな犬猫拾ったみたいに……ったく…とっつぁんも毎度毎度何考えてんだか…」


急な将軍の護衛といい、娘の彼氏の暗殺といい、いつもいつも何考えてんだあのおっさんは...

ハァ、と1つため息を吐く
話題の中心の本人は無関心と言うように中庭を見ている



「…で、俺もここに呼ばれてるって事は、そいつ俺の隊に入るんですかィ?」


めんどくさそうな顔を本人を目の前にして、隠さずに総悟が言った


「あぁ…そうするようにと、何でも真選組に配属するに当たっての決定事項らしい」


「決定事項って…なんでィ、アンタそんなに強いんですかィ」



それとも訳ありか、と聞く総悟に対して女...天野はコチラを少し見てから、まぁ…と一言答えたあと、ブスっとしたまま、庭に目を戻した



「おい、」

俺が言える事でもねぇが、コイツも中々愛想が悪いようだ


「…とにかくだ、この件は改めてとっつぁんに確認を取らせてもらう。お前の入隊はそれからだ」


『……』


‘女’を真選組に入れるなんて急に言われても、きっちりとした理由が無いと俺を含め、隊士達の中でも納得しない者も居るだろう


天野は黙ったまま、頷いた



(…トシ、紅葉ちゃん人見知りなのかな?)
(知るかよ、俺が)







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