まずい、非常にもの凄くまずい
道に迷った



買い物からの帰り道、いつもと違う道を行ってみようと冒険した結果


見たことの無い場所に辿り着いた


元来た道を辿ろうと歩いたら更に迷ってしまい、路地裏的な細い道から脱け出せなくなってしまった


携帯も置いてきたしで本当に困った

迷子になった挙げ句、連絡手段も無いなんて…





そして今何よりもピンチなのが…



「オイ、聞いてんのか」


「サッサと出せよッ!」



只今人生初のカツアゲされてます



『…イヤ、あの本当に今お金無いんで、使ってすっからかんなんで…』



買い出しに貰ったお金のお釣りは3円
これじゃ、んまい棒も5円チョコも買えない


大人しく出しても逆にもっと怒らせそうで嫌だし…



「あ゛?…だったらその袋寄越せや」



お金の代わりにお兄さんその1が目に付けたのは買い出した荷物



『え!?でも中身は野菜類しか…』



どう考えてもお兄さん達の様な人達が欲しがる物は入ってない



「良いんだよ!!最近は料理男子が流行ってんの知らねェのかお前?」



謎のドヤ顔で言ってくるお兄さんその2

だからどうした!!

そんな料理男子目指してるなら料理教室行けよ!!


…なんて言いたいけど恐くて言えない


走行している間にお兄さん達は買い物袋を持って立ち去ろうとしている




『ちょっ待っ……』




バタンッ…!!



『!?』



突然2人が倒れたと思ったら、見た事のある男が立っていた






「人助けちゃった、俺ってエライ」


「仕事サボってこんな事する奴のどこが偉いってんだバーロー」




おじさんの方は分からないけど、確かに私は…この貼り付けた笑みを浮かべる男を知っている



『な…なんでこんな所に…アンタが……神威が…!!』


そこに居たのは間違える筈も無く、あの時沖田さんと戦った神威だった


「あんな雑魚以下の奴も倒せないなんて相変わらず弱いんだネ」



驚く私とは反対に相変わらずニコニコと笑いながら言った



『お、お兄さん達は…?』



倒れ込んで全く動かないお兄さん達
…死んで無いよね…?



「あァ、死んでは無いんじゃない?」



あんな奴ら殺しても何の意味もない、と興味無なさげに言う




『私を捕まえに来たの…?』


…まだ私が狙われてたとしたら今の私が逃げ切れる訳も無い



「別に?弱い奴に興味無いし、キミの事はとっくに手を引いてる」



だったら一体…



『…何しに来たの?』



あの事件から、鬼兵隊共々全く行方が分からないと土方さん達も言っていたのに…どうして今頃…?





「キミって別の世界から来たんだよネ?」



私の考えとは裏腹に、変わらずニコニコ笑いながら神威は聞いた



『そう、だけど…?』



「じゃあその世界には強い奴は居た?」



『強い奴…?』



強いって多分戦いに関して言ってるんだよね…?



『アナタの望む強さを持つ人は…居ないと思う』


ここの世界と少し似てる所はあるけど、全く別の世界だ

少なくとも私の知る限りでは、神威の求めている強さを持つ人は絶対に居ない


…けど、何でそんな事を聞くんだろう?



「なんだ…じゃあコレはアンタに上げるヨ」


残念そうに渡されたのは、黒くて小さい…サイコロに近い物だった



『何これ…?』


「それはお嬢さんをコッチに連れて来た機械を小型化した物だ」



おじさんが説明するに

なんでも私をコッチに連れて来た機械を改良した物で、この世界と元居た世界を繋ぐ事が出来る機械らしい



『…え?じゃあもしかして……?』



「元の世界に帰れる」



『!!』



「ただし使えるのは恐らく2回が限界だ、帰れるかはお嬢さん次第だがな」


『わたし…次第?』



それってどう言う…


「キミの居た世界に強い奴が居たなら俺が行こうと思ったんだけどネ」



本当に残念そうに言う神威

どんだけ戦いたいんだ、全く理解出来ない



『でも何で私に…』



「もう俺には必要無い物だからネ、もうキミには必要無いのかも知れないけど上げるヨ」



それだけ言って彼は去った




『…元の世界に、帰れる?』



(けど、)

(私は帰りたい…の?)


 




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