『…隊長、ターゲットを発見しました』



「了解、このまま気付かれない様に出来るだけ近付くぜィ、油断禁物でさァ」



『…ラージャ!!』





前を歩く男を2人で物陰に隠れながら慎重に追って行く



男は角を曲がってある部屋へと入った






「『……』」



私達も顔を見合わせ頷いて、その部屋に突入する




ガラッ!!



「!!」





障子を力一杯に開けた

驚いた男を見てニヤリと笑い戦闘態勢に入る



…そして、





「土方ァァア外ォォオ!!」


『福はァァア内ィィイ!!』





目の前の鬼に向かって力の限り豆を投げました



「ちょっ!?…お前らッ…何を…やってんだァァア!!」



豆攻撃に耐えながらキレた鬼は、こちらを見た




『「撤退!!」』



その瞬間私達はサッと部屋から逃げ出す





「待てコラ゛ァァア゛!!」



『ギャァァア゛!!』




ものっそい速さの鬼の形相で追い掛けて来る鬼…もといい土方さん




『お、沖田隊長ォォオ!!鬼が、鬼がァァア!!』



殺されるゥゥウ!!と叫びながら逃げている私に沖田さんは言った




「…よし、此処は囮作戦でさァ」



『お、囮?』



「俺が逃げきるまで奴を頼んだ」



『…え?ちょっ、待って…』




「健闘を祈る」





言うなりピューッと素晴らしい速さで逃げて行った

…つまり私が囮?





……うそん



取り残れた私が鬼に目を付けられるのは必然で…






「咲夜ァァア!!待てコラァァア!!」



『…ギャァァア゛!!』





ハッと思って全速力で逃げる



ですが皆さま覚えているでしょうか?





私は運動が苦手です





自慢じゃ無いですけど走るのも超絶遅いです

持久走は特に滅びろとか思ってましたからね私




そんな私が土方さん相手にそう簡単に逃げ切れる事が出来るハズも無く


後ろを振り返ると、もう直ぐそこに土方さんがいます





「待てコラァァア゛!!」



『…ギャァァァァア゛!!……ブヘラッ!?』




ドテーンッ!!




足がもつれて盛大に転けてしまった



『…痛ったァァア!!』




足捻った足捻った!!
ヤバいヤバいヤバい!!



「やっと止まりやがったか…」



痛みに気を取られている間に土方さんは私の目の前まで距離を詰めていて

あっという間に捕まってしまった









「結局何がしたかったんだお前は」



『…節分…?』




只今私は土方さんのお部屋で、正座をさせられながらのお説教タイム



沖田さんめ…

私を囮にして本格的に逃げやがった…



チクショウ!!

もう沖田隊長なんて呼んでやるもんか!!




「だからって何で俺に豆?」



『鬼の副長だから沖田さんがやろうって…』



朝私の部屋に来て、豆が大量に入った袋を渡されたのだった



「お前はアホか…そんなに鬼に豆捲きてェならコイツに捲いてこい」



『?』




手渡された一枚の写真



そこには、とてもとても恐ろしい緑色の鬼が写っていた



『…こ、これは……』



確か万事屋の近所の花屋さんの……屁怒絽さん?だったかな


…と言うか、いやいや確かに鬼だけども!
あってるっちゃあってるけども!!



『この人に捲いたら確実に地獄にエスコートされちゃいますよ!』




鬼は外って言うか、外でも内でも永遠に追い掛けて来られそうで怖いんですけど!


そんな事になったら絶対土方さんも道ずれにしてやる…!!





(良い子にして無かったらコイツ来るから)


(なんで生禿的ポジション?)

 




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