『あ、銀ちゃんだ』
買い物帰り、道端で俯いている銀ちゃんに遭遇した
俯くついでに、見るからにどよーんとした感じの重苦しい空気を纏っている
ふと、目の前の店を見て直ぐに全てを理解した
『…あァ、負けたのね』
パチンコに
無言で頷く銀ちゃんは余程落ち込んでる様子だ
…しょうがない!
『肉まん食べますか?』
どうせ財布はスッカラカンだろうから、買い出しのお釣りでこの救いの女神咲夜様が奢ってあげましょう!
「いやァ、悪ィな咲夜ちゃん。今度勝ったら奢るわ」
言いながら公園のベンチに2人座る
『全く懲りて無いんですね』
新八君と神楽ちゃんも苦労人だな…
「あーあんまん旨ェ…久々のあんこ」
因みに肉まんでは無くあんまんを食べる銀ちゃんの横で、私が食べているのはピザまん
『そんな賭け事やってる暇があるなら、肉まんぐらい神楽ちゃん達に買ってあげなさい!賭け事なんてロクな事がないんだから』
「なんでお母さん口調?」
『一発逆転出来るほど人生甘く無いよ、上手くいってもそれは罠だよ!騙されないで!』
「何に騙されたんだよ、どんなトラウマ引きずってんだよ一体」
言いながらあんまんを完食した銀ちゃんに続いて私も完食する
「そーいやジミーとは最近どうなの?」
『…ジミー?…あ、ザッキーの事ですか?別に普通ですけど』
なんでか聞くと、別に〜と誤魔化された
なんなんだろ?
そろそろ帰ろうかなと考えてたら、スクーターで送ってくれると言われたのでお言葉に甘える事にする
うわ、自転車の2人乗り以外で初めて2人乗りする!
「ちょっと待ちなさいよォォオ!!」
『!!』
スクーターに乗ろうとした正にその時、何処からか女の人の声が響いた
ガバッと茂の陰から現れたのは…誰だ?
メガネ掛けたコスプレ?姿のお姉さん
ギロッと目が有った瞬間に何だろう…どこか知ってるオーラを感じた
「アナタさっきから何なの!?ずっと銀さんにベタベタして!挙げ句2人乗りして帰るって…私に見せ付けてるつもりなのかしら?」
『…は?』
「残念だけど私そんなの全ッ然平気だから!寧ろコレは銀さんからのプレイ!」
『……は?』
…パードゥンぷりーず
いきなり出て来て何言ってんだこの人
てか、なんで茂の中から?
『何この人…?』
「よし、エンジン掛かった、咲夜ちゃん早く乗れよ」
銀ちゃんに助けを求めると、何事も無い様にスクーターに乗れと催促する
「分かってるのよ銀さん!そうやってまた放置プレイに持ち込む気ねッ!!乗ってやろうじゃないの!」
キャーと騒ぎながら頬を赤く染めるこの様子は、やっぱりどこかで見た事のある
…何処だっけ?
う〜ん…と悩んでいると、また女の人が私に目を向けた
「分かったかしら?私と銀さんはいくら切っても離れられない関係なのよ、アナタの出る幕じゃ無いのよ!」
『…はァ』
何故かどや顔全開で私に突っかかってくる謎のお姉さん
変なポジティブさが無性に誰かを思い出す
あ、分かった
『近藤さんだ!』
意味不明で理解不能なポジティブさと自信に満ち溢れながら、お妙ちゃんにストーカーしまくっている近藤さんに似てたんだ
あ〜スッキリした
『スッキリしたし、早く帰りましょうか銀ちゃん
』
「おう、後ろに乗れよ」
よいしょっとスクーターに乗った所でまた声が響いた
「だからちょっと待ちなさいよォォオ!!」
ブチッ
「煩せェェエ!!」
ずっと無視していた銀ちゃんが等々キレてお姉さんの顔面目掛けて蹴りを入れた
『ちょっ!それは流石に…』
マズいと言う前に口を閉じた
それはお姉さんが、幸せそうに頬を赤く染めながら気絶したから
この人ってまさか…
『銀ちゃん、このお姉さんって…』
「お宅のゴリラと同種だよ、しかも超ドMのな」
ぐったりとした様子で、今までの苦労話を聞かされた
これは近藤さんと全く同じパターンの人だ
お姉さんはさっちゃんと言うらしく、元御庭番で現殺し屋でストーカーのマゾッ子忍者らしい
経歴が凄すぎる
確かどっちかと言えば近藤さんもMだ
『銀ちゃん、私口で沖田さんに勝てた事無いけど…この人達には一生勝てないと思う、色んな意味で』
「勝てる訳無ェよ、だって話が通じ無ェんだもの」
(有る意味SよりもMの方が強いかもね)
(そーだな)
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