『…あの、話っていったい…?』



2人っきりで話があるからと言って、屋上に場所を変えた私と中沢さん


…正直に言うとかなり帰りたい



…え?だって誰も居ない屋上で2人っきりで話って…

これが異性同士だったら
告白じゃね?ってなるけど

女の子同士って…え、リンチ?
怠慢?イジメの始まり?


物陰に誰か隠れてて突然出て来てボコられたらどうしようとか
そんな事しか浮かばない



…いや、でも私中沢さんと話した事無いはずだし、怒らせる様な事した覚えも無いし…




くっそう…!
せめて葵にコッソリ付いて来て貰えば良かった!!



呼ばれた時に何故か、勝ってこいよ!って親指を突き出されたけど

その親指を掴んで来れば良かった!!





「月城さん?」


『は、はい!』




そんな事を考えていたら、笑顔のまま話掛けられてびっくりした


今はその笑顔さえも怖く見える
マジすいませんでした





「…月城さんって沖田君と仲良いよね?」


『……え?』




突然出て来たのは沖田君


それも仲良いなんて……!

ちょっと…イヤ、かなり嬉しい!…じゃ無くて!!

今感動してる空気じゃ無いから!




『…まァ、それなりには…』



「ふーん…」




あくまで冷静に答えると、興味なさげに髪をイジりながら言った




『………。』



「好きなの?」


『え!?』



「沖田君の事、」


『…何で、そんな事聞くの?』



「んー…どうなのかなって思って」



フェンスにもたれながら、ニコリと可愛い笑顔で言って続けた



「私は好きなんだー、去年くらいから?良いなって思って、でも沖田君モテるでしょ?だかれ自分なりに色々頑張ってたんだけど…周りの子も割と諦め悪くて…スッゴい大変」



アハハと苦笑いしながら、いきなり話し出す中沢さん


…やっぱり葵の言ってた通り、ずっと頑張って来たんだな

と思う反面…まだ諦めて無かったんだ、と驚いた

…だって、あの時彼女は泣いていたのに




「ずっとそう言う事してたらさ…女の勘?…あ、この子も沖田君が好きなんだ!って言うのが割と分かるんだよね、行動とかで」



『………?』



…つまり、中沢さんは何を言いたいんだ?

葵みたいに察する事も、女の勘も全く無い私には
中沢さんが何を言いたいのか全くもってサッパリ分からない



そんな私の心情を理解したのか、中沢さんが言った



「…つまり私が言いたいのは、月城さんは…そう言うのじゃ無いよね?」


『……』



「だって今まで特に何かして来た訳じゃ無いし…ね?」




ジッと、反論は許さないと言うような様子で私を見詰める



『……』



ここで私はやっと中沢さんの言いたい事が分かった


つまりは…これ以上沖田君に近付くな、と


そう言う事か

中沢さんは純粋に私に釘を刺しに来たのか

そう理解した私を見て、最初の笑顔に戻った


…そう言う事なら話は別だ



「やっぱり私の勘違いだよn…」


『好きだよ』



「え?」



私はそりゃあ恋愛に関しては
誰よりもヘタレな自信もあるし


行動力も中沢さんには劣るけど
それはあくまで恋愛に限った話で…



『私は、沖田君の事が好きだよ』




何か言われたりしたら…葵には負けるけど、基本言い返すし

基本的に平和主義者だけど、売られたら喧嘩だって買う時もある

こう見えて譲れない物は絶対に譲らない



『だから何か?』




特に、中沢さんみたいなネチネチしたやり方は大嫌い


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