『……』
「…で、逃げてしまったと、」
今朝沖田君から思いっきり逃げて、学校で会うのが恐くて
結局学校には行けなかった
『…うん』
そして色々…って言うか沖田君の事だけど、ゆっくり相談したかったから、葵に泊まりに来てもらった
「アンタは一体何がしたいのさ?」
『…良く分かんない』
嘘がバレてたって思った瞬間から、沖田君の顔を見るが恐い
「…て、言うかバレて無かったんでしょ、なんでそこまで落ち込むの?」
『なんで、って……』
今回は大丈夫だったけど、いつバレるかなんて分からない
もしその時…中沢さんの時みたいに冷たい態度を取られたら、って思ったら…恐くて勝手に全速力で逃げてしまった
結局私は、今更になって嘘を付いて来た事を今まで以上に、物凄く後悔しているんだと思う
「…てか、逆に今の立場を利用したら良いのに」
『?』
「沖田君は咲夜が失恋したと思って慰めてくれたんでしょ?…だったらそのまま慰めて貰って、好きになっちゃいました、って事にしたら良いしゃん」
…確かに、そうすれば私も素直に沖田君に告白出来る…かは置いて、1番ややこしく無く元の形に戻る
…けど、
『…それも嘘じゃん』
もし仮に沖田君が失恋した私を慰めてくれるとしたら、100%私は沖田君を惚れ直す自信はある
…でもそれは、今まで私が沖田君を好きだった気持ちを沖田君に伝える事が出来ない
『…今までの気持ちにまで、嘘付きたく無い』
「咲夜……アンタが言うなって感じだわホント」
『う゛………ごめんなさい』
「そう思うんなら、嘘が嫌だって思うんなら、そろそろちゃんとしてよね」
こっちの身にもなれ、と言って私を見る
『ど、努力します…』
全くの正論過ぎて反論のしようが無い
そもそも、私が最初に変な事を言わなければ、こんなに悩む必要も無かったんだもんね
『………』
あ、でも…そっか
私があの時に告白してたら、中沢さんみたいに一瞬でフられて
それでお終いだったかも知れない
『…そう考えたら、こうなって良かったのかな』
「え?」
『いやさ、…あの時に告白してフられたら、今までみたいに沖田君と話したりせずに終わってたのかな、って思ったら』
「あァ、確実に話す機会なんて無かっただろうね」
なんせ私だからな
今みたいな変な関係を築けてなかったら、確実に卒業するまで話しかける勇気なんて無かった
前までは、沖田君を1日に1回見れたら良かったのに
今じゃ話す事が当たり前みたいになって来た
『…なんか私成長した気がする』
振り返ると、今までの私では考えられない事を多々している
「…うん、頑張ってると思うよ」
『え!?』
「…なに、」
あ、葵が…私を…褒め、た…?
『まさか、同意が返ってくるとは思わなかった』
絶対に、調子に乗るな的な事を言われると思ったのに…
「まァ、ね」
、!!
まさかのまさか、特に否定もせずにいる葵
それに益々嬉しくなった
『どこら辺が成長したと思う!?』
普段思った事は割とストレートに言う葵が思った、私の成長した所を是非とも聞きたい
期待を胸に詰め寄ると、何故か目を反らされてポツリと言った
「…ちょっとは前向きに考えれる様になった、とか?」
『前向き…』
確かに…前までの私なら、今こんな風に考えれ無かっただろうな、
そう考えたら、本当に成長した!
「…ま、肝心な事をちゃんと言えて無いけどね」
『……うっす』
最後にもう1度頑張れと言って応援してくれた
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