ドッドッドットドッドッドッドッドット…………



落ち着け、落ち着け私の心臓


大丈夫、この扉をちょっと開けて、ちょっと教卓にノート置いて、ちょっと沖田君を見てて帰ろう!



大丈夫!土方君もいるし、1人で入る訳じゃ無い!




『よしッ!!』



扉に手をかける



『…よしッ!!』



大丈夫!扉を引くだけ、それだけだ!



『……よしッ!!』



さァ、行くz



「早く開けろォォオ!!」




グズグズしている私に痺れを切らした土方君が、扉を開けようとする




『ちょッ、待って!いきなりは駄目だって!心の準備が…』



「散々しただろーが……もしかしてお前人見知りするタイプか?」



『いや、そー言う訳じゃ…』



ただ純粋に沖田君が居る教室に入ると思ったら、緊張して…



『……よしッ!!』



「何が?」









結局、土方君が先に扉を開けてしまった


しょうがないと腹を括って入る
そう言えばz組に入るの初めてだ



問題児の集まりと言われているz組だけど、美男美女が多くて有名でもある



見回してみると、改めて納得する


教卓にノートを置いて沖田君を探すけど
どうやら居ないらしい…どこ行ったんだろ?




「ノートありがとな」



『あ、うん。コッチこそありがとう』




用事も終わって此処に居る理由も無くなってしまった訳で、諦めて戻ろうと教室を出る






「あ、……月城…咲夜?」




『!!』



いきなりの不意打ち沖田君にビックリする


しかも、疑問系だったけどあの沖田君が私の名前フルネームで覚えてくれてる!





「こんな所で何してるんでィ?」



こんな所とは勿論z組の前であって、私がz組から出て来た事を不思議に思ってる様だ



ノートの事を伝えると、相変わらずのトーンでいつかと同じ様に

へー、の一言だった




「片思いとやらは順調ですかィ?」



『え゛!?』




沖田君からまさかの話題…でも無いのか、私と沖田君の共通の話題ってそれだけだもんね


しかも、その話題すら架空の話だし…


自分のまいた種とは言え、沖田君に嘘を付くのは心苦しい




「その様子だと上手く行ってねェ見たいだねィ」



『えっと…うん、』




アハハと笑って誤魔化す



「そーいやその相手って何て奴なんでさァ?」


この学校?と聞いてくる沖田君




相手…相手って誰だ?



嘘付いた事しか考えてなくて、そう言えば何にも考えてなかった



『相手?えっと、相手は…』



……困った


ふと頭を過ぎったのは葵で、

こんな事なら葵にもっと相談しておくんだった



『あお…えっと、…佐藤…君?』



「佐藤君?誰でィソレ」



他校かと聞く沖田君の言葉も耳に入らず、私はただ一言が頭に木霊する

……またやってしまった




今度こそ、葵にシバかれる




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