「アンタ馬鹿じゃないの?」



『…………。』



「ねェ、馬鹿なの?ヘタレだけじゃなくて馬鹿も備わってるの?」



『……………。』




「ねェヘタレ馬鹿、ジュース買ってきて。もちアンタのお金で」







『…しょ、しょうが無いじゃないのさァァア!!』



葵のバッシングに耐えられなくなってドンドン机を叩きながら叫んだ





だって…!
尋常じゃ無いくらい緊張したんだよコノヤロォォオ!!




私にしては頑張ったよ!
話したし、なんと沖田君を笑わせる事も出来たし!

あのポーカーフェースの沖田君を!!





『私スゴくね?』




「…だからって、どうして恋愛相談持ち掛けてんの?その相手に」



『…何か話さなきゃと思ったらつい』



頭の中に浮かんだ事を適当に口走ったら取り返しの着かない事になってしまっていた



『どーしよ…』




実は沖田君が好きなの!!テヘ
付き合って下さいッ☆




…なんて言えない


確実に嫌われるに決まってる

でも私は沖田君が好きな訳だし、
ウソはダメだ、ウソは





「…そんな様子じゃ連絡先も聞いて無いんだ」




葵の言葉にギクッと肩がかすかに震える
それを葵が見逃す筈が無く、深いため息と共に私を見る





「…ハァ〜」





嗚呼、聞こえる
私の頭の中に直接葵の言いたいことが聞こえ来る



アタシが苦労して仕組んでやったのに…このヘタレが!!



聞きたくないのに分かってしまう…




連絡先どころか、自分の名前さえ名乗り忘れてるなんて口が裂けても言えない









「咲夜、ジュース買いに行こっか」



『はいッ!!ごめんなさ…?ジュース?』




急にダッシュで手を引いて、外にある自販機の所まで連れて行かれた









『まさか本当に奢らされるとは』



目の前にはジュースを選ぶ葵、勿論お金を持ってるのは私


ただ奢らされるだけじゃ切なすぎるから私も何か買おーっと






「あ、昨日の女」



突然声がして、振り返るとな、なんとそこには沖田君の姿



『沖田君!?何故此処に!?』



「何故って、飲み物買いに来たに決まってんだろうが」



迷う事無くお金を入れてミルクティーを買う沖田君

思わず私も同じのを買いそうになったけど、マネしたって思われたらアレだから辞めといた



変わりに横にあったリンゴジュースのボタンを押す




「お前…名前は?」



『へ?』



いきなりの質問に思わずアホっぽい声が出た

うわ恥ずかしッ!!…じゃ無くて、名前?あの沖田君の方から私の名前を聞いてくれるなんて…!




『咲夜!!…あ、えっと月城咲夜です』



私的に精一杯な感じで伝えたけど、沖田君からは
へーってぐらいの反応だった


…別に良いけどね!
名前知って貰えただけで幸せだから良いけどね!


自販機までわざわざ来た甲斐があったよ
葵に感謝だな



葵…?
あ、そうだ!


連絡先聞かないと…



『あの!!』



「?」




『…その、えっと…』



聞け!!聞くんだ咲夜!!
色々相談したい時とかに便利だから!みたいな適当な理由付けで聞くんだ咲夜!





『れ、連絡先教えちゃいさい!!』



「ちゃいさい?」




ま、間違えたァァア!!
教えて下さいって言うつもりが噛んだ!!




『その、えっとやっぱり相談したい時に直ぐ連絡付かなかったら不便?みたいな……アハハ、ハ』



ヤバい、恥ずかしくて前が見れない

ちょっ、今軽く本気で死ねる恥ずかしさだよコレ




「あー、…携帯今持ってねェから、また今度で」



『!!』



今度!!…携帯の番号教えてくれる!!

うわ!ヤバ!!嬉しい!!




『うん!分かった!…また今度!!』




校舎に入って行った沖田君を見ながら、顔がニヤケてしょうがない




不意に肩をポンポンと叩かれる




「咲夜にしては頑張ったね」



『葵ィィイ!!』



思わず飛び付こうとすると軽くかわされて壁に激突した
けど今はそれでも幸せ過ぎるから気にしない



すると目の前に手を出される



『?』


「ジュース代、頑張ったから私が奢っちゃる」




『あ、葵ィィイ!!』



我が友ながらなんて男前な奴なんだ!







この時はハシャぎ過ぎて気付かなかったけど、教室に戻ってフと思った





『今度っていつだ?』





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