※御倉。3年生の春。捏造だらけな御幸視点。






青道高校に来て3度目の春だ。
校門からの桜並木に差し掛かる。
入学式の今日は1年生が別登校のため、いつもより人は少なかった。

「っあー。懐かしいな、去年はパイプ椅子とか
『野球部だから』つって他の奴らより多く並べさせられたよな」

「まあ今年はそれがない代わりに受験だけどな」
「それよりまた御幸と一緒のクラスとかついてねえわ」

今年も変わらず、倉持に悪態をつかれながら並び歩く。
まだ満開とは言えないが
それなりに綺麗に咲いた桜が、春色のゆるい雨を降らせている。
隣を歩くのは、副キャプテンの、クラスメイトの。
何だかよく分からないけれど、足が止まった。

まだ見ない遠い先に、
また幾度と繰り返す優しくあたたかい季節に、
この瞳には変わらず君のことが映っているだろうか。
一際強く吹いた風が、同じように桜の雨も強くする。

「倉持」

桜吹雪の先の彼が消えてしまうような気がして、
思わず意味もなく呼びかけた。

「んだよ、早く来いよ。御幸」

ああ、よかった。

ひらひらと降る桜の花びらのその中を2人で歩く。
願わくば、もう少しだけ浅い夢を君と見ていられますように。




春よ、来い

2014/10/10

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