『主人が誰だか分からない?アンタはボクの所有物〈モノ〉なんだけど』
まるで玩具をとられた子供のように、彼はそう言って鋭い瞳を向けた。
『……分かんないなら身体で教えてあげようか?
君の飼い主は、誰なのか』
一体、この男のどこに淫行の罪でアシュレイ侯爵を裁く権利があるというのだろうか。
彼が今していることは、侯爵がしようとした行為となんら変わりないのだ。
『……』
数秒間の沈黙が続いたあと、チャールズ・グレイはぱっと手の力を緩めた。
『やーめたっ!
抵抗しないコなんか面白くない』
そう言うなり立ち上がると、何事もなかったかのように部屋を去っていった。
一人部屋に残された名前は乱れた服装も正さず、彼に言われたことを頭の中で反芻していた。
(……私の頭がオカシイ?)
おかしくされたんですよ。
貴方によって。
「君の真意が見えない」
続く??
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