「全くグレイ卿は何を考えているのだ!身重の妻を放って、自身は呑気に仕事など!!」
「ま、まぁまぁ……ミッドフォード侯爵夫人。
チャールズもチャールズなりに私のことを考えてくれているんです」
妊娠が発覚し、子どもには空気の良いところがいいだろうというチャールズの提案で結婚式ぶりに訪れるグレイ家の田舎屋敷で療養していると、
ミッドフォード侯爵夫人とエリザベスが訪ねてきてくれた。
喧騒としたロンドンとは違い自然に囲まれた良いところだが、いかんせん田舎なもので話し相手がいない。
友達のいない寂しい生活を送っていたところに久しぶりの訪問者だったので、名前は二人を大いに歓迎した。
「あの……エリザベス。この前は、せっかくの誕生日パーティーをめちゃくちゃにしちゃって本当にごめんね」
ミッドフォード侯爵夫人の隣でおとなしく紅茶を飲んでいたエリザベスに声をかけると、彼女は天使のようににこりと笑った。
「いいのよ!悪阻なんだから仕方ないわ。それよりも、赤ちゃんが生まれたらいっぱい抱っこさせてね!ミセス名前!」
「もちろんよ!いっぱい遊んであげてね!」
そう言うと心優しいエリザベスはいつも輝いてる瞳を一層 キラキラとさせた。
どうやら彼女は子どもが好きらしい。
「ふっ、思ったより元気そうで安心した」
エリザベスと私のやりとりをみて、ミッドフォード夫人はティーカップに口をつけ優しく微笑んだ。
← →
ページ数[1/2]
総数[71/80]