『そんなワケないじゃん!!
……でも、産んでくれるの?その……ボクは、君が思うより綺麗な人間じゃない』
彼の言葉でこれまでの数日間の出来事を思い出し、現実に引き戻された。
『君も知っての通り、ボクは仕事で時にはヒトを殺すことだってある。
そんな男の子どもを産んで、君は本当に幸せなワケ?』
チャールズの言葉は重い。
彼の表情から、この距離をあけていた数日間、彼なりに色々考えてくれていたのだろうということが伝わった。
彼はきっと変わらない。
ヒトを殺めるのを悔やんだりしないし、
ヒトを殺めることに罪悪感を抱いたりしない。
……けれど、私も決めたのだ。
「もちろん産むわ。
だって、あなたとの大切な子どもだもの」
笑ってそう答えると、
チャールズは泣きそうな顔で私を抱きしめた。
久しぶりの抱擁に、思わず手の力が強くなる。
彼の罪の十字架を共に背負って生きていく。
たとえそれが茨の道だとしても。
『きっと、君にそっくりな優しい子になるよ』
「あなたにそっくりな勇敢な子になるわ」
嗚呼、神様
私は呪われた女です。
悪魔のような彼を赦し
愛してしまったのです……。
「グレイ伯爵夫人としての覚悟」
続く??
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