『とぼけないでよね。


アンタが起こそうとしてることは分かってる』






「ちっ…違うッ

私は何もしてな…」








ドスッ










瞬きする間もなく、




男は急所を刺されて息絶えた。









『どっちでもいーよ。真実なんて』








…――すべては女王の御心次第なのだから…









白銀色に輝く髪を後ろに流して、

儚い命を惜しみもなく散らす。








月明かりに照らされた美しい殺人者。












(…ッグレイ!?)







零れ出しそうになった悲鳴を必死の思いで飲み込む。










見てはいけないものを見てしまった。











恐怖で足が竦む。










今すぐその場から逃げ出したいのに、逃げ出せない。






エルザは残虐な秘密を知ってしまった。







(グレイが、人殺し……)











だけど、恐怖とは裏腹に別の熱い感情が込みあげてきていた。









(冷たい瞳で死体を見下す彼に……私はまた、溺れていた)















「いつになったら許されるのでしょうか」

この恋は。


続く??



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