「お久しぶりです……グレイ伯爵」
オールコック男爵夫人と呼ばれた貴婦人は、ひきつった笑顔で挨拶を返した。
(なに……?この2人……)
異様な雰囲気を感じとり、2人の横で呆然と立ち尽くしていると彼は私に向き直って貴婦人を紹介した。
『名前。こちら、オールコック男爵夫人』
「初めまして、グレイ伯爵夫人。私はエルザ・ターナーと申します」
オールコック男爵夫人は笑顔で私の手を取り握手を交わす。
彼曰く、オールコック夫人は私と結婚する前からの女友達らしい。
だけど何か釈然としない。
この2人には何かあると、私の勘がずっと訴えていた。
何故なら……
オールコック男爵夫人から、チャールズがあの日 体に纏って帰ってきたフローリスのホワイトローズの薫りがするのだから。
フローリスの香水は、そんなに珍しい香水じゃない。
王室からロイヤルワラントの称号も得ていて、寧ろ人気の香水だ。
だけど……
私は直感で解った。
この貴婦人こそあの薫りの原因の人物であると。
「接触」
続く??
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