チャールズはそっと名前の髪を持ち上げて、項(うなじ)に唇を落とす。
「……っ!!」
『いい匂い……』
名前の顎を掴むと強引に口付け、そっと組み敷く。
「あ……っ、今日から仕事なの?」
チャールズは折角、着替えたばかりなのに胸元のリボンを緩める。
シュル……
『うん、メンドくさい』
首筋を強く吸われれば、その部分にピリリと電流が走った。
「ンッ……頑張ってね」
***
玄関には既にジョンが迎えに来ていた。
「名前様、どうされました?歩き方に違和感を感じますが」
「えっ」
チャールズの所為でズキズキと痛む腰を引きずっていたら、ジョンにそれを指摘された。
『名前、お見送りなんて無理しなくてもいいのにィ』
そう言いつつも、彼の口元はニヤニヤと笑っている。
「では、グレイ伯爵。そろそろ……」
『じゃ、行ってくるね』
ジョンに促され、チャールズは馬車に乗り込む。
「ん…行ってらっしゃい」
ジョンが鞭を振るうと馬車はゆっくりと動きだした。
私は馬車が見えなくなるまで、
玄関で立ち尽くして見送っていた。
「いつもと違う朝」
続く??
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