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『デカイ声でしゃべんないでよ、うるさいな』
老体に突き刺さった剣を肉から引っこ抜くと、ジーメンスは同時に息を引き取った。
遺体に再び布を被せるとそのまま地下を後にする。
“楽しそうですねパーティー”
出発時、名前の言った言葉が頭の中で谺した。
(楽しいワケないじゃん)
今回の件で2人殺した。
それが陛下の望みでもあり、ボクの仕事でもあるから仕方のない話だけど……
きっと世間知らずな名前はこのパーティーはフツーの優雅なものと思ってて……
まさか夫であるボクが陛下の命令で殺人を犯してるなんて思ってはいないだろうし、知る由もないだろう。
そもそも女王秘書武官兼執事の仕事がこんなダーティーな仕事だなんて知らないだろうね。
ファントムハイヴ程じゃないけど、ボク等、Wチャールズだって陛下の為にそれなりに汚い仕事をこなしてきた。
名前は何も知らない。
けど……
世界の汚いとこを知らない純粋な君がたまに恋しいと思うときがある。
『なぁーに、考えてんだかボクは』
名前のこととなると本当にらしくない。
でも……よく分かんないケド
名前に会いたいと思うのは事実。
客室に戻り剣を取り出すと、ジーメンスの血がべっとりと付着していた。
名前が本当のボクを見たとき、
彼女はボクを受け入れてくれるだろうか──。
「聖域を見つけた」
続く??
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