「シャーロットって可愛いよな」
休憩室を横切るときに同僚男性の声が聞こえて、ふと足を止めてしまった。
男性社員の世間話の内容が気になったのもあるが、なにより意中の同僚チャールズ・グレイもその井戸端会議に身を投じていたので彼の心を知ることができるチャンスだと思った。
「あぁ、新卒の受付嬢のコだろ?いいよな、いつもニコニコしてて」
「フワフワしてて、家庭的でいつもミニスカートで女の子らしいよな」
「愛想よくて気立てもイイから役員のオッさん連中もあの子にデレデレなんだよ」
「俺、この間 仕事で疲れてるときにシャーロットからキャドバリーのチョコを差し入れで貰っちゃってさ。ほんっと、いい子だよなー!」
男性社員は若い新入社員、シャーロットの話題で持ちきりだった。
「なぁ、チャールズ。お前もあのコ、可愛いと思うだろ?」
グレイに話題が振られ、名前は思わずドキリとした。
確かに彼女は女の子らしくて、とても可愛い。
いつも明るい髪の毛をくるくるに巻いていて、フワフワしたミニスカートがよく似合う。
営業職のため、過度な化粧や短いスカートが許されず、野暮ったい自分とは大違いだった。
(やっぱり、彼もそういう女性の方が好みなのだろうか……)
頭の中で、噂のシャーロットの姿を思い描くとため息が零れた。
『は?何いってんの。ああいうタイプは絶対 裏があるよ。
あのコ、いつも給湯室で他の女の子と営業部の悪口言いまくってるし』
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