「そう思うのなら、私のお願いくらい聞いてくれたっていいじゃない!!」












ーー昼下がりのバッキンガム宮殿。

ヴィクトリア女王の末娘、名前と陛下の執事、グレイ伯爵のいつものやりとりに通りすがりの宮廷人たちはクスクスを呆れた笑みを浮かべていた。







「名前様とグレイ伯爵の”いつもの”がまた始まったわ」


「名前様にあそこまでハッキリ言えるのはこの英国でも伯爵ぐらいですわい」


「仲がよろしくて微笑ましいじゃない」












ワガママ姫対、ワガママ伯爵の二人のやりとりは宮廷でのちょっとした名物行事になっていた。











『とにかく、ボクは陛下の命令は聞いても君の言うことまで聞くつもりはないからね』







グレイは呆れたようにくるりと背を向け、

"じゃ、ボクは仕事があるからァ"


と言い残し、去って行った。



















女王の娘だからといって一切 媚びた態度をとったりせず、人によって態度を変えたりしないで接してくれる。













(貴方のそういうトコが好きよ、グレイ)
















けれどそれも儚い恋…













「私もいつか姉様たちのように、祖国のために他の国の王子と結婚させられるのかしら…」




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