「名前、私 勇気を振り絞ってグレイ伯爵に声を掛けてくるわ!」




「え、ちょっと…!」









セアラは髪を耳に掛けると名前の声も聞かず、颯爽とグレイ伯爵の傍に行ってしまった。










(でも、グレイ伯爵がいるのなら彼もいるかも…)











一人残された名前は、広い広間をキョロキョロと見回すと、グレイ伯爵と同じく美しいシルバーブロンドの持ち主はすぐに見つかった。













(フィップスさん…)










寡黙で紳士で背が高くて…


グレイ伯爵のような派手さはないものの、グレイ伯爵より断然 彼の方が素敵よ!








セアラみたいに積極的にはなれず、遠巻きにフィップスさんを眺めていると後ろから声をかけられた。













『ねー、君 もしかしてフィップスのことが好きなの?』






「!?」








驚いて振り返ると、なんとそこに立っていたのはグレイ伯爵だった。






「なっ…」



『さっきからずーっとアイツのこと見てるからさー。あ、図星?』



「ち、違います!貴方の勘違いです」











(よりによって何でこの人に…!!)







慌てて否定したけど、それは逆に肯定しているようなものだった。








『隠さなくてもイイのにィ。

へーそれにしてもアイツもモテたもんだねー』








グレイ伯爵はフィップスさんの方をニヤニヤ見ながら独り言を呟いた。








『あ、なんならボクが協力してあげよっか?』







グレイ伯爵の提案に驚いて彼を見ると、ニッコリと天使の笑顔をした怪しい悪魔の瞳が。
















「結構です!」





『遠慮しなくていいのにィ』








この人絶対面白がってる…!




こういう人は関わらない方が身の為だ。




そもそも、何でこの人は私に構うのだろう?








「もうからかわないで下さい!」






そう言って立ち去ろうとすると、



すかさずグレイ伯爵に腕を捕まれた。





















『待ってよ』









大きな力で腕を掴まれ、

グルリと彼の方に向かされる。









そこには、少し真剣な銀灰色の瞳があった。















(気になるんだよね、ボクに媚びない女って)




「その恋は連鎖する」
end.



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