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こちらと同ヒロイン
「ごちそうさま…」
「どうしたんだ、なまえ。体調でも悪いのか?」
「ううん、なんでもない。」
いつもご飯のおかわりを忘れないなまえがおかずも残していた。
…学校から帰ってきてから様子がおかしい。
「…何かあったのか?」
「!…ほんとになんでもないよ?」
「だがご飯を残してるじゃないか、お前らしくないぞ」
「もう雲水兄は心配性だなぁ。大丈夫だよ!」
じゃあ宿題あるから!と食器をそそくさと片付けて自分の部屋へと帰っていった。
「…あれは何かあったんだな。」
さすがに生まれた時からずっといる分、変化には親よりもわかるつもりだ。
そう考え込んでいると玄関が荒々しく閉める音がした。
リビングを開けたのは久しぶりに顔をみた弟の姿だった。
「…よお。」
「すごい香水の臭いだな。」
まぁな、と否定もしないあたり大方女性の家に入り浸っていたのだろう。
弟の顔を見たのは数日ぶりだった気がする。
「そういやなまえはどこだよ。」
「あぁ自分の部屋にいる、今は入らない方がいい…っておい阿含!」
「おーいなまえーー!」
豪快なのは誰に似たのか、俺の話を聞かずになまえの部屋へと足を向ける弟。
確実に喧嘩になると思い俺も急いで阿含の後を追いかけた
******バンッ!!
「よぉ、お兄ちゃんのおかえりだぜ。」
案の定、大胆にドアを開け放つ阿含。
部屋ではベッドで携帯をいじるなまえがいた。
「…阿含兄。それに雲水兄もどうしたの?ってゆうか阿含兄ノックしてよ。」
「なんだよ、今日はえらくしおらしいじゃねェか。」
「おい、阿含。」
「…うるさいな、ほっといてよ。」
俺とは多少反応は違うが何かを隠そうとする姿勢はさっきと変わらない。
やはり何かあったのだろう、表情がかなり険しい。
「…男にでもフラれたか?」
「っ!」
「あ、阿含、お前いくらなんでも」
俺もちょっとそうではないかと思ったがさすがに単刀直入に聞きすぎだ。
ちらりとなまえを顔を下に向けている。
嗚呼、これは間違いなく怒らせ
「阿含兄わかる??もう聞いてよ!!」
「…え?」
「雲水兄も聞いて!!そんなとこ立ってないでココ座って聞いて!!」
いきなり立ち上がったなまえは阿含と俺を部屋に引き入れ座らせた。
そこからなまえの話は止まらなかった
「それでさ、進学校の爽やか風だったから狙ってたのにソイツ5股かけてたんだよ?二股じゃなくて5股だよ?!いくらなんでも多すぎでしょ!!
だからそのこと問い詰めたら"うるせーブス"って言われたんだよ?!ありえなくない?!」
かいつまんで話すと、学校の友人と一緒に行った合コンでメアドを手に入れ
爽やかな好青年だと思ったらとんでもない女好きだと発覚しそれを問い詰めると先ほどのようになったらしい。
「しかしすごい男だな、」
「でしょー?!もう信じられなくてご飯も喉通らなかったんだから!」
「ってゆーかブスとか言われてるなまえのほうが俺は笑えるわ。」
「はぁ?!阿含兄にだけは言われたくないし!ってゆうか阿含兄だってソイツと大して変わんないし!」
「あ"ー?お前またヘッドロックかけられてーのか。」
やってみなよ!!と愚痴から兄妹喧嘩へと発展しそうになったので俺は急いで仲裁へと入った
「ふうーーースッキリした!ありがとう雲水兄!」
「きっかけ作ってやったのは俺だろうが」
「雲水兄は愚痴散々聞いてくれたけどヘッドロックかけた阿含兄には言いたくない。」
「テメーもう一回かけてほしいらしいな。」
「やめないか、阿含。」
「ふーんだ!さ、今から宿題するから悪いけど一人にしてくれる?」
そういうなまえに従い、阿含と俺は部屋を後にした。
「あ、阿含兄。」
「あ"?」
「…ありがと。きっかけ作ってくれて嬉しかったよ、おやすみ!」
そういうと即座にドアを閉めた。
そしてドア前には俺と阿含だけになった。
「…アイツたまにあぁいうこと言うからビックリするわ。」
「お前も人のことは言えないだろう。」
「うるせー、俺のおかげでアイツが普通になったんだから感謝しろカス。」
「…そうだな。」
そういえば阿含は俺以上になまえには優しくて甘い事をすっかり忘れていた。
声が優しいのはずるいと思います( それはそうと阿含、どこに行くんだ。 )
( 決まってんだろ、なまえにブスって言った奴にちょっとな。 )
( …笑ってたのに気にしてたんだな。 )
( うるせーよ、なまえにブスって言っていいのは俺だけなんだよカス。 )
( …そうか。 )
なんだかんだで妹に甘い金剛兄弟 / 2014.12.24