Series SHORT | ナノ











「…。」

「な、なんだよ。恨めしそうに睨んで。」



泥門へ迎えに来てくれた陸と家路まで歩いて帰っている時
じっと見つめるあたしにすこしひるんだ目をする陸に深くため息をついてしまう



「あーもう!気になるから言えよ!」

「7cm」

「はっ?」

「陸とあたしの身長差。」



ずばっと言い放つと陸の眉間に皺が増える。



「誰かに何か言われたのか?」

「なんも言われてへんよ。」

「だったら気にするなよ、大体まも姉もカナと同じぐらいあるじゃねえか。」

「うっ…そんなんちゃうねん、だって」

「だって?」






「…複雑やん。彼氏よりデカイ女なんて。」



そう言いながら目にあふれた涙がすこしこぼれそうなる
なんでよりによってこんなに背を高くして生まれてしまったのか。
鈴音ちゃんや王城の若菜さんを思い出すと尚そう感じてしまう。



「背低かったら陸と同じ目線で話できるのに」



だけどこればっかりはどうしようもない。






「……んだよ。」

「え?」

「カナが別に背低くなる必要なんかねえだろ。チビだろうがデカかろうがお前はお前だ。」



陸はぶっきらぼうに捨て台詞を吐くも、ほんのり顔が赤くなっている。
でもその言葉にハッと気づかされる

そうや、身長なんて関係ない。陸が好きなんに変わりない。



「……陸、ありがとう」

「ったく、妙なところ気にするんだからびっくりするぜ」

「どういう意味やねん、妙どころか繊細な乙女心やないの。」

「はいはい…なぁカナ。」

「ん?」

「お前、俺のために背低くなりてーなんて言ってるけどさ。」



陸はあたしの左手を強引に引っ張り顔の距離を近づけてくる
ほぼゼロセンチ、それほどにまで近いところまで






「心配しなくても俺がその内抜かしてやるよ。」






たかが7cmと嘲笑う
( そういう陸の姿は誰よりもあたしは大きく見えた。 )



2014.11.19



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