「あれ?満月今日、髪おろしてるんだ。珍しいね。」 いつもと違う君 朝、宇宙科の教室に行くと、梓くんはわたしにそう言ってくれた。 今日の朝は、珍しく寝坊をしてしまって、髪を梳かすので精一杯だったのだ。 だから、いつもはしているポニーテールを結う時間がなくて、おろしたままでの登校になったのだ。 「今日は、寝坊しちゃって結ぶ時間がなかったの。」 私がそういうと、そうなんだと言って、私の髪を軽く触りだす梓くん。 「満月の髪、すごくサラサラなんだね。」 「そうかな…?」 「うん。」 梓くんは、わたしの髪を触りながら、そうやって即答してくれた。 梓くんにそうやって即答されると、なんだか少し照れる。 「ねぇ、満月。ゴムとくし持ってる?」 「あるよ!でも、どうしたの?」 そう言いながら、ゴムとくしを渡すと、梓くんはわたしの髪をくしでといてから、髪を結びはじめた。 「梓くんは、器用なんだね。すごく、きれい!」 梓くんは、わたしの髪を器用に結んで、おだんごにしてくれた。 鏡で見てもおかしいところはなくて。 大好きな梓くんに結んでもらえたのが嬉しくて、すごくドキドキした。 「やっぱり、ポニーテールも似合うけど、おだんごも似合うね。」 「そうかな…?」 「うん。」 寝坊しちゃった時は、朝から嫌だなぁっておもったけど、寝坊して、髪を結んでこられなかったから梓くんに結んでもらえた。 こんな日も、たまにはいいな。 end ← |