毎日がその日しかない特別な日。
だけど、やっぱりクリスマスという一大イベントになるといつもより特別だなと感じる。



「優奈、ケーキ作り終わったから運んで貰えるか?」

「うん、いいよ。」



今日、12月24日はクリスマスイブ。
わたしは幼なじみである錫也と一緒に料理を作っていた。
一緒に作ると言っても、わたしは錫也の手伝いをするだけで、ほとんど全部錫也が作ったと言っても過言ではない。



「哉太も手伝ったら?」

「気が向いたらな。」

「手伝う気ないでしょ。」



錫也に頼まれてケーキを机に運ぶと、哉太が真剣な顔をしてカメラを弄っていた。
こういう時の哉太はなかなか動かない。
まぁ、いいかなと思って、わたしはケーキを机に置いた。



「哉太、つまみ食いしちゃ駄目だよ。」

「わかってるよ!羊じゃあるまいしな!」

「ふふっ…そうだね。」



カメラを弄りながらでも、きちんとわたしの話を聞いてくれる。
そんな哉太がわたしは愛しいと感じる。



* * *



錫也や哉太、月子と一緒にクリスマスディナーやケーキを食べて、クリスマスを過ごした。
幼なじみのみんなと一緒にいると、なんだかほっとする。
そんな温かい時間を過ごした後、後片付けは任せてという錫也と月子に甘えてわたしは哉太と屋上庭園に来ていた。



「やっぱり、クリスマス迎えたら寒さもますね…」

「そうだな。あっ、優奈こっち向け。」

「なんで?」



このタイミングで手を出せって言われたらだいたい何があるかわかるけれど、少し照れ臭くて。
気づかないふりをして哉太の方を向く。
哉太は顔を真っ赤にしながら、わたしの髪に何かをつけてくれた。



「ありがとう…!これって…」

「オレからのクリスマスプレゼントだけど、気に入らなかったらつけなくてもいいからな。」

「ううん、すごく嬉しい…!」



鏡を使って見てみると、星と花の飾りがついたかわいいピンが髪についていた。
哉太が照れながら、考えて買ってくれたんだなって思うと、それだけで嬉しくて。
わたしは哉太をギュッと抱き締めた。



「優奈…? 」

「ありがとう…わたしからのプレゼントも受け取ってくれる?」



わたしは哉太に綺麗にラッピングされた包みを渡した。
哉太は嬉しそうに受け取ってくれた。



「これって、もしかして…」

「うん、哉太が好きだって言ってた天体写真家の写真集だよ。」

「ありがとな!マジ嬉しい!」

「喜んで貰えて嬉しい。」



嬉しそうに笑う哉太は少し子供っぽくて、かわいいななんて思ってしまった。
特別な日常の中でも、いつもより少し特別な日。
この素敵な日に哉太と2人で一緒に過ごせたのが凄く嬉しかったの。



特別のような、



end


2011.12 .24



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