「せんぱーい!」 「あっ、梓くん。今、帰り?」 「はい。だから一緒に帰りませんか?」 「ごめんね、梓くん。今からちょっと用事があるの。」 「そうですか…。」 あなただからなんです 最近、先輩は忙しいらしい。 帰りに一緒に帰ろうと誘っても、断られる。 なんだか少し複雑だ。 「僕、大分満月先輩に執着してるみたいだな。」 誰もいない場所で一人で呟く。 先輩は僕のこと好きだって分かっているけど、柄にもなく不安になった。 「あれ…?」 寮まで歩いていると、満月先輩と一緒に歩いている東月先輩を見つけた。 幼なじみと一緒にいるんだから、別に不思議ではない。 だけど、先輩は用事と言っていたのを思い出して不安になる。 何より、一緒にいられないのが寂しかった。 * * * 最近、梓の機嫌があまり良くないみたい。 恋人同士なのに、あんまり一緒にいられないからかな? でも、もう少しだけ待ってて。 会えなかった分も、その分だけプラスして、大好きって伝えるから。 「錫也、お願いします!」 「あぁ。でも、もう、ほとんど大丈夫だろ。」 「本当?なら、良かった!」 放課後、錫也と一緒に料理をする。 月子みたいに、料理が壊滅的なわけじゃないけど、料理はあまり得意じゃない。 だけど、どうしても梓に伝えたくて。 「満月、あとは飾りつけたら完成だぞ。」 「はーい。」 * * * 「満月先輩、どうされたんですか?」 「梓と一緒に星が見たいなって思って。」 わたしは、夜に梓を屋上庭園に呼び出した。 どうしても、梓に伝えたくて。 しばらく星を眺めていると、梓がわたしにこう言った。 「最近先輩が相手してくれなくて、僕寂しいです。らしくないんですけど…それに、満月先輩ずっと東月先輩といるし。」 そんな梓が可愛くって、わたしは思わず梓を抱き締めた。 いつもは、リードされてっぱなしのわたし。 だけど、今日は梓が嫉妬してくれて。 それがすごく嬉しかった。 「どうして笑ってるんですか?」 「梓が錫也に嫉妬してくれたのが嬉しくて。」 「やっぱり、先輩には叶いません。」 はじめは憂い顔をしていた梓だったけど、笑ってくれて。 それが凄く嬉しかった。 好きな人には笑っていて欲しいから。 「あのね、梓。」 「なんですか?」 「いつも、ありがとう!」 そう言って、ケーキの入った箱を渡すと、梓はびっくりしながらも、「そういうことだったんですね。」と納得してくれた。 「先輩はいつもずるいです。」 「そんなことないよ…?」 「そうなんですよ。まぁ、そんなところも好きなんですけどね。」 「梓…!」 ありがとうと、梓に伝えて。 ちょっと照れ臭かったけど、梓が嫉妬してくれたりもしてくれて。 なんだか嬉しかった。 梓のそういう一面が見れたから、頑張って良かったな。 end 2011.11.12 悠樹さんへの相互お礼に送ります!! リクは、梓で嫉妬甘でした。 予想以上に長くなっちゃいましたが、リクに添えていたら幸いです!! 相互ありがとうございましたっ! ← |