「満月!」

「あっ…錫也!迎えに来てくれたの?」



帰る準備が終わって、外に出ると幼なじみの錫也が待ってくれていた。
錫也は、帰りが遅くなると時々迎えに来てくれる。



「近いから、いいのに…」

「お前は女の子なんだから、気を付けなきゃいけないだろ?」

「はーい。」



錫也は幼なじみのわたしを心配して、毎日迎えに来てくれる。
迷惑かけてるな、とも思うけど、大好きな錫也が迎えに来てくれるのがすごく嬉しい。



「今日は、哉太や月子と天体観測するんだけど、満月も来ないか?」

「わぁ…!いきたいな!」



だから、2人で過ごす時間がすごく幸せ。
月子や哉太と過ごすのも大好きなんだけど、やっぱり錫也は特別。



* * *



「今日はよく星が見えるな!」

「そうだね!乙女座のスピカに獅子座のデネボネ…」

「綺麗だな。」

「うん。」



錫也とお弁当を食べながら星を見上げる。
哉太と月子と羊は誰がいちばん星座を探すのが早いかを競争している。
そっと錫也の横顔を見る。
いつものように笑って、わたし達を見ていてくれる時の、優しい顔をしていて。
それをいちばん近くで見れて、嬉しいの。
幼なじみという距離。
近いようで遠かったりするけど、今はこの距離で十分なの。



今はこのままで



end


2011.10.17




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