▼▲個人授業



タークスクラスへの入学はあっさりと決まった。

なぜか、私は嫌いな殺人鬼の仲間入りになったようだ。





個人授業






大きなチャイムの音で生徒全員が教室を出る。
昼食の時間だ。
ナマエはザックスとレノとエアリスで屋上へ行く約束をしていた。
しかし、教室を出る時にザックスに止められた。

「ちょおっと待て」
「はい?何?ザックス」
「お前、先生に呼ばれてたぞ。あの怒ったら怖いっつーので有名なツォン先生から」

ツォンという言葉でレノが反応する。

「ツォンさんが?と」

ツォンはタークスクラスの総担任。
レノはタークスクラスであって、ソルジャークラスに良く遊びに来るのだ。

「しっかし・・・あの恐怖数学’sに気に入られるもすごいよな」
「きょーふ?すーがくーず?」
「だって数学の教師はあの二人だろ?しかも、怖いだろ?あー、嫌なコンビだよな?!」

ザックスは頭を抱えて座り込んだ。
ナマエは気に入られているのはわかるが、何故かザックスはいつもいじめの対象になっているのだ。
本人はいじめと言っているが、他人から見ればただの生徒と先生がじゃれ合っているとしか見えないのだ。

「お前も気に入られてるんだぞ、と」
「俺が?!・・・・・・ただ、いじめてるとしか・・・見えない・・・・・」
「まあ、私もいじめられてるもんじゃない」

ナマエは朝のセフィロスとのやり取りを思い出して顔を顰めた。

(特にセフィロス先生にはね!なんで私ばっかりがそこまで苦労しなきゃいけないのよ!)

心の中で悪態を付きながらも足は職員室へ向かう。

「じゃっ!俺達は席を取ってるからな!」
「はいはい。エアリスにもよろしくね」

手を振ってザックスとレノと別れる。
職員室のドアを少し睨みつけて服装を少し整える。

コンコン

少し控えめなノックをして中へ入る。

「失礼します」
「ナマエ・ミョウジ」
「あ、はい」

入ってからすぐにツォンから名前を呼ばれてハッと顔をあげる。
ツォンは無表情でを見つめていた。

「・・・・・校長からお話があります」
「は、はい」

緊張して身体を固める。
職員室から校長室は繋がっている。
職員室からスタスタとツォンの後ろについていき、校長室が目の前になって止まった。

「ネクタイをちゃんと締めなさい」
「え、あっ!はい!」

言われたとおりにきちんとネクタイを締める。
そして、ツォンを見て頷いた。

「では」

コンコン

「ツォンです。ナマエ・ミョウジを連れてきました」
「入れ」

ガチャっとドアをあけ、中へ入る。
すでにセフィロスの姿があり、セフィロスはの姿を見ると驚いた顔をした。

「随分と手を回すのが早いな」
「当たり前だ」

校長とセフィロスが親しげな会話をしている姿に驚き、立ち止まる。

「ナマエ・ミョウジ」
「はい!」

セフィロスにフルネームで強く呼ばれ、大きな声で返事をしてしまった。
校長はこんなにも年寄りだったのか・・・・。

「俺も考えたが・・・・。お前はタークスクラスへ行く事になった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

かなりの間があったが、セフィロスは気にしないで話し始めた。

「お前にはタークスクラス、ソルジャークラスを両立してもらう」
「はいいいい?!」

タークスクラスとは・・・・あの殺人クラスじゃないか。

「ここにサイン。ほら」
「ちょ、ちょ、ちょっと待った」
「何だ」
「先生。私何がなんだかわかりません」

はっきり言って拒否権もなしですか?
と、言ってもいいくらいに行動が早い。

「まあ、落ち着け」

低い校長の声を聞いて黙った。

「お前は成績が優秀らしいな」
「あ、え、はあ、まあ、そうですね」

自分で認めたくはないが、確かに優秀なほうなのであろう。

「だから、お前をタークスクラスへ入れた」
「・・・・・私に・・・・殺人をしろと?」
「そうだな。そう言っているのと一緒だな」
「・・・・・いいわ」

ペンを持ってすぐにサインをする。

「・・・・・・そんなにサラッと決める事か?」

プレジデントは驚いたように言った。
ナマエはニッコリと笑って頷いた。

「そうか。では、もう行ってよし」
「はい!」

元気に職員室を出て屋上へ向かう。







「お、ナマエだぞ、と」
「おー!お帰りー!」
「ただいま!ザックスとレノとエアリス!」

ナマエを暖かく迎えた友人の3人。

「ナマエは一体なんで先生に呼ばれたの?」

とっても美人な女の子でエアリスという名前で私の友達なのです。

「あー、私、タークスクラスとソルジャークラスを両立する事になったから」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

フリーズ。

「もしも〜し?3人とも大丈夫ですか〜?」
「はいいいいい?!」
「何々?!どうしてだよ?!また旦那か?!」
「あの性悪男に騙されたの?」

最後のはエアリスの発言だ。
エアリスもザックスもレノもとセフィロスが付き合っている事は知っているが認めていないらしい。
レノはどうでもいいようだがエアリスは許していない。
ザックスはただからかいのネタにしたいだけである。

「もう!先生は関係ないって!」
「いーや、信じられないわ!だって、ナマエは先生に甘いし」

「ほう・・・・・。そうだったのか」

4人してバッと勢い良く後ろを向く。
そこには先生本人が腕をフルフルと震わせて立っていた。

「あー、嘘です」
「私は嘘じゃないけどね」
「せ、先生」
「貴様ら、ここは立ち入り禁止と言っただろう」

ガツンとザックスとレノの頭を叩く。

「いってー・・・・」
「いっっ!!!な、なんで俺とレノだけなんだよ!」
「敬語を使えって何度言ったら分かるんだ」

再び鈍い音を立ててザックスの頭を叩いた。

「いでえええ!!!!」
「ケインズブール。お前にはちゃんと課題を与えてやろう」
「・・・・・・・・・・」
「ナマエ」
「は、はい?!」
「ナマエも課題でしょ?」

エアリスがセフィロスとナマエの間に入って強調して言う。
セフィロスは少し睨んで鼻で笑った。

「そうだな。それと、ナマエ・ミョウジは放課後に残ってもらう」
「どうして?私たちも残るんでしょ?」
「残念ながら、新人タークスに色々と教えることがあってな」

勝ち誇った笑みを浮かべながらエアリスを見下す。
エアリスは黙ってセフィロスを睨みつける。

「今日は私たちも残りますね」
「クックックッ。今日は完全下校と朝に言ったはずだが?」
「あーもう!いいです!行こう!皆!」

お弁当を持っての手を引っ張っていく。
ザックスとレノは急いで追っていった。







時間が経つのは早い。
今日は本当にそう思った日だった。
あっという間に放課後になっていて、全員が帰った後にジッと教室で待つ。

「はぁ・・・・・・」

盛大なため息は一人だけの教室に虚しく聞こえた。
先生は少ししたら来ると言っていたが、一体何をするのだろうか。

(もしかしたら・・・・先生を皆揃えて説教・・・・?
 いやいや・・・・もしかしたら・・・・宝条先生を連れて来るかも・・・・・。
 いやいやいや・・・先生は宝条先生の事が嫌いなはず・・・だったしなぁ・・・)

「一体・・・何があるんだーー?!」
「一人で何を言っているんだ」
「せ・・・先生・・・・・」

顔を赤くして後ろを向く。
そこには問題集らしきものを持ったセフィロス先生の姿があった。

「これは試験用の問題集だ」
「へ?試験?」
「いちをタークスクラスの試験もある」
「そ、そっか・・・・」

ドサッと目の前に問題集が置かれ、セフィロスは隣の席に座った。

「適当にやれ。わからなかったら言え。終わったら採点するから渡せ」
「あ、はい」

小さく返事をして問題集を見てみる。
中身はソルジャークラスでやった事のある問題の応用だ。
ナマエはスラスラと解いてセフィロスへ渡した。

「・・・・・・ほう。さすが」
「結構ソルジャークラスでやった問題ばっかりでしたのでー、結構簡単でしたよ?」

笑って言うにセフィロスはニヤリと口角を上げた。

「たいした自信だな」
「そりゃあ、もう」
「では、次に間違えたらお仕置き」
「はい、って・・・・・はあああああああ?!」

ついノリで返事をしてしまったが言ってから後悔をした。

「よし、この小テスト。時間は15分」
「え、あ、ちょ、ちょっと待ってよ!」
「始め」

時計を見ながら腕を組むセフィロス。
ナマエは時計を見てテストに取り掛かった。







「終わり。筆記用具を置け」
「っぶなー・・・・セーフ・・・・・」

小テストといっても問題数がかなりあり、見直しの時間が足りないと思っていた。
しかし、なんとか間に合ってテストをセフィロスへ渡した。

「・・・・・・・・・・・・」

セフィロスは赤ペンで丸をつけていき、ぱっぱと丸をしていく。

「やっぱり・・・・。間違ってなかった!良かった〜!」

どんどん丸が増えてゆき、ナマエは嬉しそうに机に伏せた。

シュッ、シュッ、シュッ

赤ペンの丸付けの音が何度も繰り返される。

シュッ、シュッ、シュッ・・・・・・キュ

キュ?
今・・・・・すっごく認めたくない音が・・・・・。
ナマエは恐る恐る、セフィロスの方を見た。
セフィロスはナマエを見てから静かに目を閉じての目の前に答案用紙を持っていった。

「丸・・・丸・・・・丸・・・・丸・・・・・・」

呪文のように何度も見ていく。

「丸・・・丸・・・・・丸・・・・・・ま・・・・・・・ま・・・・・」
「クックックックッ」

最後の問題で一つバツがついている。

「嘘だ・・・・」
「ほら、答えだ」

バッと掴んでジッと見つめる。
確かに答えは間違っていた。

「あ・・・・・・あー・・・・」
「約束通り。お仕置きだな」
「待ってよ!ここは教室だよ?!」

後ろへ下がろうとするの腕を引っ張り立ち上がって、椅子に座ったままのの口を塞いだ。

「っ・・・・んぅッ・・・・」

椅子から落ちそうでも背中にはセフィロスの手で支えられている。
は慌てて両手でセフィロスの胸を叩いた。

「はっ・・・・んんう・・・・・」

セフィロスの片手がの両手を掴み、舌を入れる。

「・・・やっ・・・・んっ・・・・・」

背中にあったセフィロスの手が上へ上がっていき、ブラのホックへ行き着く。
さすがにも本当に慌てて足を動かした。

「んはっ!はあ・・・はあ・・・・」
「どうした?」
「どうしたじゃない!何て事をするの?!」

キレてセフィロスの頬を叩く。
完全下校といってももしかしたら生徒が忘れ物と言って来るかもしれない。
誰か他の先生が来るかもしれない。
セフィロスはフッと笑ってをキチンと座らせた。

「続きは家だな」
「あー!先生なんて大嫌いだ!」

教科書を入れた鞄を持ち、イライラと教室を出て行った。

「クックックックッ。本当におもしろい」

一人になった教室で帰ったら何をしてやろうかと考え、自然と笑いがこぼれる。
もしかしたらの友人のエアリスに邪魔されると思い、阻止するために教室を出た。







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