過去の拍手お礼小説 のFF

「あっつ…」

ソルジャー寮は冷房完備されているが、かなり古いので効果がかなり悪い。
ミッドガルの真夏の夜は熱帯夜だ。
ただでさえ暑いのが大嫌いなのに、この熱帯夜は眠りを妨げる。

そして、暑いのにはもう一つ原因がある。
恋人であるセフィロスが泊まりに来ていて、寮のベッドでは密着しないと眠れないが抱き枕のごとく抱きしめて眠るのだ。
セフィロスは暑くないのか疑問ではあるが、ジンワリと額に汗が滲んでいるのだから暑いのだろう。

普段は防犯のために窓を開けることはしないが、ここには世界最強のセキュリティーである英雄が寝ているんだ。
侵入者がどんなやつだろうと返り討ちにされるだろう。
そう思いながら腕から抜け出して、カラカラと窓を開ける。
気休めかもしれないが、ほんの少し涼しい気がしてきた。

「よくこんな暑いのに寝に来るよ…」

セフィロスの家は最新の冷暖房なのか一年中快適だった。
夏は暑さを感じないぐらい涼しいし、泊まりに行ったときには快適な睡眠を得られた。
まあ、大抵が睡眠前に運動をするもんだからお互いに汗はかくけど…
そんな快適な寝室じゃなく、こっちに来るのは嬉しいのだけども、二人で寝るには暑苦しい。

時計を見ても起きる時間にはまだまだあるし、これから寝れれば充分だが、この暑さでは眠りにつけそうもない。

「ブリザガでセフィロスを凍らせれば快適なんだけど…」
「…それだけはやめろ」
「起きてたんだ」

月明かりが差し込む中、体を起こして前髪をかきあげる姿に見惚れてしまう。
本当に絵になる容姿だよ…。

「眠れないのか」
「うん。暑すぎて」
「だからそんな物騒なことを言い始めたのか…」
「爆睡してるセフィロスにならリフレクされずにかけられそうだよね」
「…」
「冗談だよ」

溜息をついて「こっちに来い」とか言われたから素直に近寄った。
手を引かれてベッドの上に乗ると、ルームウエアを脱がされる。

「は?ちょっと?」
「暑いなら裸で寝ればいい」
「い、いやだよ」
「氷漬けにされたら困るからな」
「冗談だってば、わわっ」

バサッと手際よく脱がされて、もともとパンツしか穿いていないセフィロスに抱きしめられて再び元の位置に戻される。
先に進むのかとドキドキしていたが、聞こえてきたのは穏やかな寝息。
裸になっても暑いものは暑いが、肌と肌が触れて、セフィロスの鼓動を感じながら自然と瞼も閉じていった。




- ナノ -