過去の拍手お礼小説 のFF
「ジェネシスさん。これで殲滅終了です」
「ああ。じゃあ、帰還するぞ」

目の前に居る敬礼する女を見る。
金色の髪をさらりと流し、小さなフェイスラインに美しい顔。
毛穴などいう言葉がないかと思うほどきめ細かい肌に、思わず貪りたくなる誘惑するぷくっとした小さな唇。
身長は女性の中では少し高いであろう高さで、そこらへんのモデルに引けをとらない手足の長さにスラッとした体型。
胸のボリュームは出会った当初はまな板張りであったのが、親友と付き合いだしてから少し膨らんできた。
女らしい体つきになってきているが、その服装は周りに居る男達と同じソルジャーの制服を纏っている。

親友と同じように刀を振る姿は親友の女バージョンかと思うぐらい、静かで優雅だ。
そんな容姿をしているからか、戦う姿や魔法を扱う姿はまるで踊る女神のよう。

美しい女が大好物の俺が手を出せないのは、彼女が親友の女であるからだ。
俺が手を出すよりも素早く手を出され、しかもちゃっかり自分だけのものにして。
完全に夢中になっている親友は、自分も憧れる世界的に英雄と言われる男だ。

英雄の女に相応しくない女はつい、潰してきたが…この女を潰す気にはなれなかった。
強さを見ても、容姿を見ても、中身を見ても相応しいと思ってしまったからだ。
むしろ彼女以外に自分の憧れる英雄の女は居ないとも思える。

「ジェネシスさん?」

しかし、彼女の唯一の弱点は鈍感だ。
特に恋愛方面に関して、クソがつくほど鈍感だ。
先程も2ndが言い寄っていたのを蹴散らしたが、本来は俺の仕事ではない。

だが、せっかくの親友の相応しい相手だからこそ、仕方なくそんなめんどくさいことをやってやってる。

「お前が俺のものだったら、な」
「…あはは、ジェネシスさんはいつも冗談がお上手ですね」

冗談だといつものように笑っている彼女を腕の中に閉じ込めてやりたい。
でも、親友の彼女で…俺もその親友との交際は認めてる。

ああ。矛盾だ。

「セフィロスに飽きたらいつでも来るといい」
「っ!そ、その人の名前をここで言わないでください!」
「2番目でもいいんだ」
「…そんな器用なことできません」

おかしなやつだ。
セフィロスの恋人という事実を隠すし、俺に言い寄られても微動だにしないこの女は。
呆れたように俺を見て、彼女は見せつける様に溜息をついた。

「でも、ほんと仲いいですよね。セフィロスさんもジェネシスさんには完全に気を許してる感じですし…」
「…」
「三人のやり取りを見てると、いつもこっちまで楽しくなっちゃいますもん」

ああ、ダメだ。
そんな幸せそうな笑顔で見られると、心がかき乱される。
あのセフィロスが夢中になる気持ちも分かるな。

お前の登場で俺達三人は更に距離が縮んだのを知っているか。
お前が居るだけでセフィロスがよく笑うのを知ってるか。

まあ、知らないだろうな。超絶鈍感女だ。

友情と恋愛のはざまを迷う俺か…。
小説でも書けそうだな…。

「“惜しみない祝福とともに 君は女神に愛された。世界を癒す 英雄として”」
「第二章…」
「良い子だな。ちゃんと勉強しているな」
「頻回に聞いていれば覚えちゃいますよ」

そう言って彼女はまた笑い出した。




- ナノ -