「「「トリックオアトリート!」」」
私とキッドとローは三人ともオオカミの着ぐるみを着て、町内をうろついている。
小学校の行事で近隣の住民に協力してもらい、私たちは同じグループで一緒に回っていた。
この着ぐるみは私のお母さんが三人一緒がいいという理由で作成し、着せられた。朝、行く前に写真も撮られたし、私も三人一緒で嬉しい。
私の両手にはキッドとローの手が握られていて、暖かい。
キッドとローが持ってくれている籠には色とりどりのお菓子がいっぱい入っていて、帰ったら三人で食べようねと話してあった。
「でも悪戯やりてーな」
「もー、ダメだよキッド」
「まあ、ちょっと物足んないな」
「ローまでそんなこと言って」
男の子には何か物足りないのだろうか。
「キッドはどんな悪戯したいの?」
「落書き!家中を落書きだらけに、あ!でもピンポンダッシュもいいな」
「ダメダメ。ローは?」
「ポストに蛙入れるとか?」
「ダメー!!」
この二人の悪戯はダメだ。
そもそも事前に学校が伝えてあるんだからお菓子の準備していないお家はない。
私の両隣でうずうずしている二人には申し訳ないが、私は悪戯などしたくはないし、怒られたくない。
「無難にピンポンダッシュするか?」
「私だけ置いてかれちゃうよ」
「おれたちがお前を置いて行くはずないだろ」
「でも、一番遅いんだから。私が捕まっちゃうよ?」
キッドもローも言葉に詰まった。
でも、本当のことだ。置いてかれた私も助けに来る二人が結局捕まって3人とも捕まっちゃうんだから。
ずっと前に家の塀に落書きをして、ママに見つかった時も逃げる時に私が転んで、2人がすぐに戻ってきて3人捕まったことがある。すっごく怒られて、あの落書きを3人で泣きながら消したのは数か月前の話しだ。
「ね、大人しくオオカミになっちゃおー!」
「しょうがねーなー」
次のお家の前へ来ると、3人で顔を見合わせて大きな声を上げた。
「トリックオアトリート!」
HAPPY HALLWEEN!!
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