もこもこ
寒くなってきたので、お母さんが新しいパジャマを買ってくれた。モコモコで手触りが良くて、暖かい。

今日は金曜日。
週末は大抵、私かキッドかローの部屋でお泊まりだ。今日はキッドの部屋で3人でゲームをしながら過ごすことにして、夕飯を食べた後に私とローはお風呂に入ってからユースタス家にお邪魔した。もちろん、私は新品のモコモコパジャマを着た。

私がリビングで3人分の飲み物を準備して、キッドママにおやすみなさいと挨拶をして、部屋まで持っていった。

「今日こそは全クリするか」
「それ朝までコースじゃねェか」
「朝まで付き合えよ」
「アイツは途中で寝るだろ」

キッドとローの笑い声が聞こえてくる。どうやらゲームをセッティングしながら私のことを笑っているようだ。仲が良いことで。

「トラファルガー、お前また女変えたのか」
「くくく、情報早ェな」
「別れた当日に付き合うとか、ほんと悪魔だな」
「そりゃどーも」
「褒めてねーよ」

私もキッドに同感だわ。
ドアを開けて部屋に入るとすでに布団が敷いた後で、テーブルは端っこに寄せられていた。
私はテーブルの上に飲み物を置いて2人の間に座った。

「そういや、名前」
「なに、ロー」
「パジャマ変えたんだな」
「そうなの。モコモコでいいでしょ」

私がそう言うと両サイドで私の腕を揉み始めた。ちょっと擽ったい。

「おお、すげー」
「暖かそうだな」
「暖かいよ」

寒がりのローは私の腕を引っ張って、胡座をかいているローの膝の上に乗せられ後ろから抱きしめられた。

「あー、抱き心地最高」
「おれにも確認させろよ」
「ちょっと待ってろ」

私は2人の抱き枕じゃないんだけど。
不満を言いたいけど、こういう時の2人は同じ経験をさせないと喧嘩する。大人しく抱き枕になりながら、私はコントローラーを持った。

「ゲームしながらにしよーよ」
「ならステージごとに交代な」
「ああ」

何だそのルール。完全に私はおもちゃだ。
仕方なくゲームを進めると、本当にステージクリアしてキッドの膝に送られた。

「やべー、あったけー」
「…」
「モコモコやべェな」
「ほんとな」

今日、この2人すごく仲がいいな。嬉しいことだけど、状況がちょっと微妙なだけに複雑な心境だ。

私はそのまま抱き枕に徹しながらゲームをして、流石に日付を跨ぐ頃に眠気がやってきた。
付き合いきれず、2人にお休みを伝えて寝ることにした。布団の上でゲームをしていたため、キッドのベッドを借りる。
布団に入るとキッドの匂いがすごくして、安心した。心の中でキッドの彼女さんに謝っとて、私は顔だけ2人の方は向けた。
2人は真剣に全クリを目指しているらしく、表情も真剣だ。時々、声を掛け合って協力してるところとか、もう穏やかに見てられる。このまま喧嘩をしなきゃいいけど。

「キッド、ロー、おやすみぃ」
「おう、おやすみ」
「気にせず寝ろよ」
「うん、ありがとロー」

2人の顔を眺めながら私はすぐに眠りについた。

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