5年生 五年生。 ハーマイオニーの言葉に聞く耳を持たず古めかしい魔法薬学の教科書に心底惚れ込んでいた。スネイプ先生万歳。 私を目の敵にするスネイプ先生を別段嫌っていないし、だからといって好きでもないが、この才能は尊敬するにあたるだろう。スネイプ先生が研究者になったら魔法界の進歩に繋がるだろうにとぼやくと、ロンにポリジュースを飲んだ偽者だろうと疑われた。 すっかり魔法薬学を好きになった私は授業外でも実験を行ったり精力的になり、今日も夢中になって薬草の調合に取り組む。 「ポッター、消灯時間は過ぎてるぞ」 突然かけられた声に驚き、うっかり鍋を倒してしまった。エメラルド色の液体が床に広がり、杖を一振りして消し去る。魔法薬が完璧になくなったことを確認してから顔を上げるとマルフォイの瞳とかち合う。 「随分熱心だな」 「楽しいからね」 鍋の中に残っている液体も消し去り消失の呪文で道具を片付けているとマルフォイは私の隣までやってきて腕を掴んだ。全てを片付け終えた後だったので特に抵抗はしなかったが無言で見つめてくるマルフォイはなにがしたいのだろうか。痺れをきらして腕を振り払おうとしたとき、廊下からカツンと靴音が響いてきた。――恐らく、フィルチだろう。真っ直ぐにこの部屋に向かってくる足音。 「…………」 青ざめているマルフォイを引き寄せてマントを頭から被る。声を出さないようにと警告しようとしのだがマルフォイは完璧に固まっているのでその心配はないようだ。室内に入ってきたフィルチを慎重に避けながら部屋を出て、暫く城を徘徊していた後安全だと判断した場所にマルフォイを置いて寮に帰った。 120716 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |