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 人の悪口を言うとろくなことがない。悪口、だめ、絶対。

「あの、今日でなくて、明日では駄目かしら?」
「今日も、明日も、付き合ってくれていいよ」
「ああ、いいとも」

 あれから一日が過ぎた、休日。朝食を摂るために談話室を出た私を確保したのは、昨夜夕飯の席で、ただでさえくしゃくしゃな私の髪をくっしゃくしゃにしてくれたロンの双子のお兄さんだ。私の両脇をがっしり捕まえている双子は、九十九パーセントの確率でよからぬ事を考えている。是非とも同行を遠慮したい。しかし、クィディッチで鍛えた二人の体は筋肉隆々…とまではいかないが、年下の女子を逃がさないことなど朝飯前だ。双子に連行されている間抜けな姿を幾人かの生徒に目撃されて恥ずかしかった、というか、目が合った瞬間、見てはいけないものを見てしまったという顔をされた。……視界が、歪んだ。



「ハリー! ヘーイ!」
「セドリック! ハリーに突っ込め! やっちまえ!」
「ちょ! それ、反則よ! やめて!」
「ハリー! 覚悟はいいかい!」

 双子が向かった先は、クィディッチ競技場だった。そして現在、競技場までの道で拉致したセドリック・ディゴリーを交えて“なんちゃってクィディッチ”をしている。ボールを奪い合いゴールへシュートするという単純な遊びなのだが、双子が二人でやってみたらつまらなかったらしく私とディゴリーを連行したのだとか。九十九パーセントの確率でよからぬ事――つまり、悪戯とか、悪戯とか、悪戯とか――を考えていると思ったが、違ったようだ。休日にクィディッチとは、なかなかナイスな考えである。
 フレッドと私、ジョージとディゴリーでペアを組んでなんちゃってクィディッチをしているのだが、フレッドとジョージの見分けがつかなくて、何度もパスミスが発生した。おまけにゴールキーパーがいないのでポンポン点が入り、どちらが何点なのかさっぱりだ。でも、私のチームの方が勝っている。うん、間違いない。
 そろそろ夕飯だという時間まで箒に乗っていた私たちは、借りていた箒を返しに箒小屋まで歩く。今日の相棒である箒は授業で使う備品なのだが、ニンバス2000よりクセがない。色んな人間に乗られ慣れているのだろう、無難にそつなく飛んでくれる。ニンバス2000はクセがあるというか、私がクセをつけてしまったのだろう。私が一番飛びやすい方法を知っている。……なんだかニンバス2000が恋しくなってきて、夕飯を食べたらニンバス2000の手入れをしようと決意した。

180901

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