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 青い箱をダドリーに渡すと、彼は直ぐ様銀色のリボンを外して中身を取り出す。それを横目に、ペチュニアおばさんに言い付けられた通りベーコンを焼いた。ダドリーの誕生日だからかいつもより厚切りのベーコンはとても香ばしく、ジューシーな肉汁が食欲をそそる。いい具合に焼けたベーコンを皿に移し、もう一枚焼いていく。さっきのはダドリーので、これは自分の分だ。おじさんとおばさんは、もう食事は済んだようで食後のティータイムを楽しんでいる。
 自分のベーコンも焦がすことなく焼き終えて、両親からのプレゼントを漁るダドリーを尻目にベーコンを口に運ぶ。噛む度に味が深まるベーコンは最高だった。しかしベーコンだけでは、味は満足しても腹は満足しないので透明の丸い器にシリアルと牛乳を入れる。この甘さ控えめのシリアルは、甘いシリアルに慣れていた私にとって苦手なものであったが、今では慣れてしまって週の半分以上はこれを食べていた。

「ハリー、今日は動物園だからな」

 大きいプレゼントを開け終わったダドリーがようやく食事を始めた。小さいプレゼントは開けるのを面倒臭がったようで、いったいこの中で何個が開けることなくゴミ箱行きになるのだろうか。

「ハリー、聞いてる?」
「ええ、聞いているわよ。昨日もその前も、何回も聞いたもの」

 私の返事を聞いたダドリーはそうだったっけ、と首を傾げながらベーコンにかぶり付く。溢れだした肉汁が口の回りを汚すのも気にならないほど彼はベーコンを気に入ったようだ。もうちょっと綺麗に食べられないのかしらと眉をひそめる私とは正反対に、おばさんはダドリーの食べっぷりに感動しているらしい。しきりにダドリーを褒めるおばさんは私に目を移すと嫌そうな顔で部屋に戻れと命令する。すでにご飯を平らげていた私はそれに逆らうことなどせずに、使った食器を洗ってから階段下の物置に引っ込んだ。ダドリーたちが今日はいないから、またあの猫おばあさんの所へ行かなきゃならないのか。ダーズリー家が遠出するときに私が同行することは当然なくて、毎回猫好きのおばあさん家に預けられるのだが、延々と猫自慢をしてくる猫おばあさんを思い出して眉をしかめる。家で一人留守番できたら最高なのに。
 ダドリーのお気に入りのパソコンを使ったり、この間ダドリーが遊び飽きたと言っていた携帯ゲーム機をこっそり盗むことも容易くなることだろう。それから、ペチュニアおばさんが隠しているとっても高級なお菓子をつまみ食いして、それからそれから――――素敵な妄想に夢を膨らませていると、部屋の扉をドンドン叩かれる。あまりに勢い良く叩くのでついに鍵が壊れて、開ける手間なく扉は開いた。

150622

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