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 昨日が入学式で、今日から授業開始となっている。昨日配られた時間割りを左手で持ち、右手で食事をしているとトムにはしたないと注意された。仕方がないのでご飯が終わるまで我慢することにしてシリアルに牛乳を注いでいると「あのまま置いてきて良かったの?」と一足早く食事を終えて食後のティータイムを楽しむトムがわざとらしく首を傾げる。年上には見えないトムをチラリと見てから銀色のスプーンを手に取りシリアルを口に運んだ。

「良くないわよ。私はルームメートと一緒に食事したかったわ……ルームメートと仲良くなれなかったらトムのせいよ」
「違う、ルームメートじゃなくてマルフォイのことだ」
「マルフォイ? 大丈夫よ、多分。きちんとルームメートに伝言を伝えてくれてるはずよ」

 先に広間に行くことをルームメートに伝えてと言ったらマルフォイは了承してくれた。なんでそんなことをしなければならないんだというオーラを纏っていたが確かに了承をしてくれたのだ。二口目のシリアルを口に運びながら、そろそろルームメートが来ても良いはずなのにと広間の入口に目を向けるとちょうどいいタイミングで彼女たちが現れた。私に気付いた彼女らの一人が「ハーイ、ハリー」と笑顔で挨拶しているのに返事をしようとしたのだが、なにやら様子がおかしい。私のルームメートと一緒に現れたマルフォイにまとわりついているのはルームメートの一人、パンジー・パーキンソンだ。純血のパンジーは純血のマルフォイにお熱なの、と教えてくれたのはアリスで、彼女は悪意を持ってそう言った。

「それよりハリー、隣の方は誰?」

 チラチラとトムを見るアリスにトムはにっこりと人好きのしそうな笑みを浮かべ自己紹介をする。それから話題豊富なトムとアリスは楽しそうにお喋りを始めた。どうやら彼らもお熱らしい。食べ終わったシリアルの皿を脇に避けてフルーツを選んでいると、遠慮がちに私の隣に腰掛けたマリーが朝の挨拶をしてから食事を始める。それからこう愚痴を溢した。

「パンジー、私とアリスがマグルだったことがよっぽど気に入らないみたい」
「だからアリスはあんなにパンジーに対してそっけないのね」
「だって彼女酷いのよ、私たちを穢れてるって言うの。純血がそんなに偉いのかしら」

 眉をひそめるマリーに、そんな顔をしたら綺麗な顔が台無しよ、と言うとマリーはポッと顔を赤らめた。どうやらここもお熱らしい。

150809

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