05 セブルスとの仲が崩れても時間の流れが変わることはなかった。授業を受け、杖を振り、ご飯を食べる。 何度もポッターに声を掛けられたけれど、耳には入ってくることはない。 「名前、本当にごめん。もうあんなことはしないと誓うよ」 「……ええ」 「おい、ソースかけすぎだ」 「あら、本当。ありがとう」 ソースの黒で塗り潰されたカツは食べることが出来るか怪しいが、食べ物を粗末にすることも出来ずにたくさんのキャベツを乗せて口に運ぶ。……ゴホ! 食べなければ良かったと咳き込んでいると、横から水を差し出される。お礼を言い、一気に流し込む。 コップに水を注いでくれたのはルーピンらしく、彼は水の入ったジョッキを片手に持ち私の背中をさすってくれている。 心配して私の顔を覗き込んでいる、ポッター、ペティグリュー、ブラック。……私ったらなにをしているのかしら。 「気取ったヤツと言われたとき、こんな気持ちになるのかしら」 ポッターを見る。 「ブラック家と言われたとき、こんな気持ちになるのかしら」 ブラックを見る。 「ドンケツと言われたとき、こんな気持ちになるのかしら」 ペティグリューを見る。 「人狼と言われたとき、こんな気持ちになるのかしら」 ルーピンを見る。 顔を真っ青にするルーピンを見て、ああ、彼は私と同じ気持ちなのかもしれないと思った。 120319 目次/しおりを挟む [top] |