三日月さまのような髭を生やした大男がわたしに話しかける。そばかす男の服を握り締めながらわたしは答えた。ただ、それだけのことだと言うのに周りは騒ぎ出す。周りと同じように目をくりくりとさせるそばかす男に笑いかけると彼はニカッと笑い返してくれる。それが嬉しくてニコニコ笑っていると、また大男に話しかけられた。

「おめーは、悪魔の実の能力者か?」
『うーん……そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。わたしには、わからないわ』
「グララララ。そうか、わかんねーもんは仕方ねえな」

 豪快に笑う大男はそばかす男のパパらしく、わたしはそばかす男が大好きだと言う大男が嫌いではなかった。けれど「俺の娘になるか?」という申し出に頷くことはできない。だってわたしには大好きなママとパパがいるのだから。
 そう言って断ると部屋がしんみりとした雰囲気に包み込まれ首を傾げていると大男がグララララと笑う。

「父親が二人になるのは嫌か?」
『うーん……パパが一番のパパよ?』
「じゃあ二番目のパパだ」
『パパ……じゃあ、そばかす男と兄妹?』

 顔を持ち上げてそばかす男をうかがうと、彼は不思議そうに目を瞬かせた後「そばかす男って俺か!?」と大袈裟に驚き、少し間を空けてから部屋は笑い声に包まれた。
 エース、エース、エース、と呪文のように何度も繰り返すそばかす男を『エース』と呼んでみせると彼は嬉しそうに笑い私の頭を撫で回す。相変わらず子どもを扱う手つきではないエースだが、それでもわたしを大事に扱ってくれていることが伝わってきて表情が緩んだ。

130224
目次/しおりを挟む
[top]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -