ルフィ海賊団と楽しそうに宴会をしているエースを尻目に、私くらいの大きさの男の子に近寄る。男の子は驚いたように目を丸くしているも、私が近づいても特に文句は言わないので遠慮なく隣に座った。戸惑うように視線を彷徨わせながら私にジュースを差し出してくれた彼にお礼を言うとますます彼は目を丸くする。

「お、俺が怖くないのか?」
「こわい? どうして?」

 男の子の言葉の真意がわからず首を傾げると彼はもじもじと手をこすり合わせてから思い切ったように言った。

「おれ、おれ……トナカイなんだ」
「うん。それで?」
「それで……え?」
「うん?」

 二人で顔を見合わせて首を傾げあっていると、緑色の髪をした男が私たちの間に割り込んできた。男の子の頭に手を乗せたグリーン男にますます首を傾げるも男の子は嬉しそうに笑うので私も笑う。

「お前、名前は?」
「ヘンリーよ。あなたは?」
「俺はチョッパー、船医をしてる」
「せんい? おいしゃさま?」

 すごいのね、と言うとチョッパーは嬉しそうに体をくねらせるのでクスクス笑うとグリーン男に顔を覗き込まれる。目を細め、睨むように私を見てくるグリーン男になにか不躾をしてしまっただろうかと眉を下げると、今度はグリーン男と私の間にチョッパーが割り込んできた。ヘンリーを睨むんじゃねえぞゾロと言うチョッパーの言葉にグリーン男は罰が悪そうに頭を掻く。短く謝罪の言葉を口にしたグリーン男に気にしていないと首を振るも、昔の知り合いに似てたんだ、と零した彼の言葉に胸が揺れる。“なにか”を思い出しかけたとき――

「ヘンリー、こっちにこいよ」

 いつの間にか私の背後にきていたエースに抱きすくめられ肩が跳ね上がる。大袈裟に反応した私を気にした様子のないエースは酔っ払っているのかいつもよりテンションが高く、やたら密着しては髪に頬をこすりつけた。多少鬱陶しくはあるもののエースに触れられること自体は嫌いじゃないので好きにさせ、金髪のコックが用意してくれた料理に手をつけようとしたとき、目にもとまらぬ速さでエースの首に刀が飛んだ。
 炎のエースに刀が刺さることはないが、いったい誰が刀を飛ばしたのだと首を動かすと、驚いた顔で固まるグリーン男が目に入る。どうやらグリーン男がエースに刀を投げたらしく素直に謝罪を口にしたグリーン男をエースは簡単に許した。

130411
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